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[MOM1832]昌平DF関根浩平(1年)_智恵と勇気持って戦い、守り抜いた1年生CB

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.31 全国高校総体準々決勝 昌平高 1-0 静岡学園高 広島広域公園第一球技場]

 幾多のプロ選手を輩出してきた伝統を誇る静岡学園高に、昌平高の実績なき1年生CB関根浩平が立ちふさがった。「(埼玉県)予選にはまるで関わっていない」(藤島崇之監督)選手だが、大会直前の埼玉県リーグから大抜擢を受けて正選手の座を勝ち取ってこの大会に臨んでいた。

「試されているんだと思った」と感じていた県リーグでのプレー。幾ばくかの手ごたえと少々の不安と共に臨んだ全国高校総体。何より思っていたのは「(予選で先発だった)柳田竜成さんの分まで恥ずかしいプレーはできない。1試合1試合、とにかく全力でやろう」ということ。どちらかと言うと「頭を使ってのプレーが得意」と語るとおりのスマートなタイプのDFだが、必死にボールへ食らい付ける柳田の良さを真似たかのようなガッツあふれるプレーを継続し、この静岡学園戦でも体を張り続けた。

「配球がいい」と藤島監督が評するように、CBとして最大の長所はビルドアップの巧みさ。中学時代を過ごした栃木SCジュニアユースで鍛えられてきた部分であり、「判断しながら(パスワークを)やる」ことは自然と身に付いている。弱点は「東福岡には吹っ飛ばされていた」と苦笑を浮かべる体の細さと軽さだが、智恵と勇気で不足分をよく補っていた。

 ハイライトは終了間際、ゴール前が乱戦となっていた時間帯に訪れた。GK緑川光希が飛び出して空っぽになっていたゴールへ飛んできたボールを頭でかき出す。「(競ることを)GKに任せたので、自分はゴールのカバーに行った」という好判断と、「気持ちで負けるよりはいいと思った」というポスト激突も恐れずに突っ込んだ勇敢さの双方が噛み合って生まれた、1点もののビッグプレーだった。藤島監督も「あそこによく戻っていた。守備の基本をしっかり守ってくれた」と疲れ切っていた時間帯でもなお切らさなかったDFとしてのベースを称え、針谷も「あれはやられたと思った。賢いんですよね、アイツは」と感嘆したように振り返った。

「ポストは痛かったです」と笑った生粋のDF魂を持つ男は、2014年末に行われた高円宮杯プリンスリーグ関東参入戦での栃木ユースと昌平の激闘を観たことを一つのきっかけとして、進路を定めることになったと言う。「周りの先輩たちの力が大きいので」と謙虚な姿勢は崩さないが、次の相手は市立船橋高。栃木時代の先輩であるU-17日本代表DF桧山悠也もいる相手に、自分の力を試すことになる。

[写真]試合終了間際、昌平DF関根がポストに激突しながらもスーパークリア

(取材・文 川端暁彦)
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