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[MOM1837]市立船橋FW太田貴也(3年)_努力の成果!チームメートから「愛される男」が決勝点!

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[8.1 全国高校総体準決勝 昌平高 0-1 市立船橋高 広島広域公園第一球技場]

 チームメートから「愛される」男が全国準決勝で決勝ゴールを決めた。市立船橋高のFW太田貴也(3年)は前半30分に値千金の決勝ゴール。右サイドへ切れ込んだ右SB真瀬拓海(3年)のラストパスへスライディングで飛び込んで足に当てると、最後は体ごとゴールへ押し込んだ。

 ゴールを確認した太田は左手を突き上げて笑顔。すると、スクイズボトルを手にした1年生MF郡司篤也が至近距離から歓喜のウォーターシャワーを浴びせた。太田にとって郡司は千葉の強豪、JSC CHIBA時代の後輩でアシストの真瀬はJSC CHIBA、そして小学生時代に所属していた南市川JFCでもチームメート。太田は「去年からメンバーに入っていて、今年もギリギリで入れさせてもらって、郡司も、真瀬も活躍していて自分だけまだ取り残されているという訳ではないですけど、やらなければいけないと。それも(ゴールシーンは)真瀬からのボールで、これは何が何でもという気持ちで足を伸ばして、当たり損ねた部分があったんですけど、入って良かったです」と頬をまた緩めた。

 今大会はチャンスには絡むものの、シュートがクロスバーを叩いたり、結果を出すことができていなかった。一方で後輩の郡司は初戦でのハットトリックを皮切りに今大会5得点。「嫉妬じゃないですけど自分も決めたいと思っていた」という気持ちは本音だろう。だが、これまでだったら空回りしていたというFWは今大会、「頭の中を整理して自分の中ではいいバランスでできている。もうちょっと冷静にできたらいいですけれど」。結果が出なくても、自分なりに我慢強く挑戦し続けた結果、ついにこの日、殊勲のゴールを決めることができた。

 太田は努力の男だ。それはチームメートが認めている。Bチーム落ちも経験して迎えたプレミアリーグEASTの流通経済大柏高戦(7月17日)で太田は決勝ゴール。全国高校総体のメンバー入りが当落線上だったFWはこのゴールで信頼を勝ち取った。ゴールと同時に朝岡隆蔵監督には印象的なシーンがあったという。「最後点取ってチームメートが一緒になって喜んでいる姿見たら外せないですよ。彼は愛されているんですよ、チームメートから」。真瀬も太田について「(彼は)頑張るんで凄く。(結果が出なくて)苦しんでいるんですけど、頑張るんで、ああいう選手が結果を残すとチームとしてもいい雰囲気になります」。その努力が結果に結びついていることを一緒になって喜んでいた。

 太田は「(ゴールは)素直に嬉しいですし、こういう試合をきょうで終わらせないで、これからの試合でもやっていけたらいい。1回でも多く、ゴールに繋げられるプレーをしたい。守備に置いても、攻撃にに置いて走ってチームに貢献したい」。結果には満足していないし、守備面など課題もまだまだある。また持ち味のスピードをもっと活かすこともできるはず。だが、3年生になってAチームからBチームに降格しても諦めずに努力を続け、チームメートやスタッフから人間性を認められるアタッカーは続けて来た努力の成果をこの日証明した。次は日本一を懸けた決勝。「負けたくない。流経とはプレミアでも、インハイでもやりましたけれども勝って優勝出来たらいい。どんな形であれ、優勝できればいい」。チームメートに「愛される」FWはその感謝を込めて決勝でも、チームのために、勝利のために走り回る。 

[写真]前半30分、市立船橋は先制ゴールを決めた太田(右)に後輩の郡司が歓喜の“ウォーターシャワー”(写真協力=高校サッカー年鑑)

(取材・文 吉田太郎)
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