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[総体]ライバル原の存在が成長する力に、市船CB杉岡主将は悲願の日本一

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[8.2 全国高校総体決勝 市立船橋高 1-0 流通経済大柏高 Eスタ]

 ついに登り切った頂きへの険しき道のり。市立船橋高のU-19日本代表候補CB杉岡大暉主将(3年)は「中学も一回経験して去年、そして今回が3度目の挑戦だったんですけど、本当にこれが日本一なんだなと。最高の気持ちでした」と悲願の日本一に表情を緩めた。

 PK戦で東福岡高に敗れた昨年に続き、自身3回目のファイナル挑戦。最後の一歩を登り切るのは本当に簡単なものではなかった。立ち上がりから相手のパワーに押されて守勢を強いられた。先制して迎えた後半も、どこか守りに入ってしまった部分があったかもしれない。相手にセカンドボールを拾われて連続攻撃を受けた。特に終盤はセットプレーを立て続けに与えてしまい、あわやのシーンの連続。それでも仲間たちととも守りぬいた。

 日本一を勝ち取ったことは本当に嬉しい。だが、杉岡自身は満足していなかった。流れを変えるプレーができなかったからだ。「きょうもチームメートに助けられて自分的に全然何もしていない感じがあるので、もっとチーム引っ張って流れ変えたりしたい。嬉しい半面、そう感じた部分がありました。ピンチをつくられる回数も多かったし、それをひっくり返せずにそのまま受けてしまったので、そういうところですね」。サイドチェンジで会場を沸かせたシーンもあったが、精度不足。守備では我慢して無失点で守り切ったが、納得する内容ではなかった。「個人としても突き抜けないといけない。満足せずにやっていきたい」と悔しさを口にしていた。

 杉岡が「最大のライバル」と口にする存在がCBでコンビを組むDF原輝綺だ。ともにJクラブ加入が濃厚となっている実力者。だが1年時から注目を集め、日本高校選抜や年代別日本代表に選出された杉岡に対し、原はこれまで突き抜けた評価を勝ち取っていた訳ではない。それでも杉岡にとって原は成長するために欠かせない存在だったという。「対人のところでアイツ1対1が本当に強くて、トレーニングとか自分はあんまり身体ない分抜かれたり、そういうのがあった。キックでもサイドチェンジとか自分が失敗して原が成功したりして、監督にも結構言われたりするので悔しかった。(彼と比べると)自分ダメだなと思うところがあった。刺激受ける仲間ですね」

 杉岡は間もなくJクラブ加入が発表されそう。目標をまたひとつ叶えるところまで来ているが、今後の高校生活でもライバルから刺激を受けながら少しでも成長すること。そして流れを変えられる存在になる。「本当に比べられる存在は大きいし、それが高いレベルなんで互いに切磋琢磨していきたい。満足せずに、歴史をつくりたいと思っているので。市船に新たな歴史をつくれるように頑張りたい。(個人的には)チームを救うキャプテンになれるようにやっていきたい」。ついにたどり着いた頂点も次へのステップ。日本一の光景を見た才能が日々刺激を受けながら、また成長を遂げる。

(写真協力=高校サッカー年鑑)

(取材・文 吉田太郎)
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