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[MOM1840]清水ユースMF鈴木魁人(2年)_“盛り上げ隊長”が一念発起!「ピッチでも主役になれ」に応えて2発

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.2 クラブユース選手権(U-18)準決勝 神戸U-18 1-3(延長)清水ユース 味フィ西]

 盛り上げ役が主役となって輝いた。清水エスパルスユースは1-1でもつれこんだ延長戦の末にヴィッセル神戸U-18を3-1で下し、14年ぶりの決勝へ進んだ。延長戦で2得点の活躍をみせたのは、途中出場で投入されたMF鈴木魁人(2年)だった。

 底抜けに明るくハツラツとした鈴木は、チームの“盛り上げ隊長”。宿舎などではいつも“一発芸”を披露する役回りだという。しかし、準決勝直前のミーティングで平岡宏章監督から「(一発芸などをする)ホテルだけで主役になるのではなく、ピッチでも主役になれ」と檄を飛ばされた。

 この言葉を受けた2年生MFは「自分はテクニックとかないので、中盤でのプレーとかはまったく期待されていないんです」と苦笑しつつ、「“ゴール前で何かを起こせ”と言われていて。そこしかできないので、そこで何かを残してやろうという気持ちで入りました」と一念発起したと明かす。

 そして1-1の後半27分に途中出場で投入される。果敢に裏へ抜け出してはゴールを目指した。90分間で決着はつかず、10分ハーフの延長戦へ。ついに鈴木が仕事を果たす。延長前半2分、MF多田愛稀のドリブル突破から受けたMF吉田峻が浮き球を入れる。飛び込んだ鈴木が頭で決めた。

「得点する前にヘディングで外していたので、今回はクロスが上がってきたので、抑えてシュートしようとボールに頭を弱く当てたのが上手く入ってくれてよかったです」

 勢いにのった鈴木は延長後半6分に追加点も記録。右サイドで受けたDF梅村豪の右クロスをファーサイドのFW中野優太が頭で落としてのゴール前混戦。鈴木が押し込んだボールは一度DF跳ね返されるも、再び鈴木の下へ。「突っ込んだので、もうどこに当たったか分からない感じで」。無我夢中で押し込んだボールはネットを揺らした。

 清水ユースは鈴木の活躍で3-1の勝利。実に14年ぶりのファイナル行きを決めた。試合後、平岡監督からは「ナイスゴール」と声をかけられ、思わず頬を緩めた鈴木だったが、指揮官からはすかさず「調子に乗るなよ」と釘を刺された。“盛り上げ隊長”は「結構すぐに調子に乗っちゃうので……」とハニかみながら頭をかく。

 ジョーカーとしての役割も全うした鈴木だが、実際にはスタメンで出場したいという気持ちもやはりあるようだ。それでも「最初から出ても、後から出ても、やるべきことは点を取ること。与えられた役割を全うすることがチームが勝利に一番近づくことだと思うので。与えられたことは必ず全うしていきたい」と精悍な表情もみせた。

 決勝の相手はFC東京U-18。プレミアリーグEAST同士の対戦となる。4月9日に行われたプレミアEASTの開幕戦では、清水がFC東京U-18に1-0で勝利。奇しくも後半41分にCKから鈴木が決めたゴールが決勝点だった。

 2試合連続での主役へ。FC東京U-18戦へ「いいイメージはありますね」と話したMFは「身長や体格は向こうの方が大きいと思うんですけど、自分たちには自分たちの良さがある。パス回しや背後の動きというをたくさんしていきたい。うちは速さや特徴ある選手が多いので、相手がこの暑さで走りきって、やり辛くなるときがあると思う、そこでの隙を突いていきたいです」と誓った。

 “盛り上げ役”からピッチの主役となった2年生。決勝戦でもベンチから仲間の戦いを見守り、そっと出番を待つ。そしてピッチへ立った時、仕事を果たすべき、その瞬間をつかみとる。

(取材・文 片岡涼)
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