beacon

未来のエース候補、地元いわきに恩返し 吉田知樹「サッカーを通じてじゃないと自分は何もできない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 将来的なJリーグ参入を目指して今季より立ち上がったいわきFC。選手らは現在、アンダーアーマーの自社物流センター「ドームいわきベース(DIB)」で正社員として働きながら、プロサッカー選手を目指している。

 様々な経歴を持つ選手がプレーしていることも特徴で、海外でのプレー経験を持つ選手や外国籍の選手も在籍している。最年少は今年3月に高校を卒業したばかりの選手たちで、現在は5人が在籍している。中でも注目なのが、昨年末の全国選手権に茨城県代表として出場した明秀日立高で10番を背負ってプレーしたMF吉田知樹だ。

 一度は高校卒業と同時にサッカーを辞める覚悟を決めていたが、地元いわき活性化のためにプレーを続けることを決断。今季、いわきFCが戦う福島県社会人リーグ2部の開幕戦ではいきなりゴールを奪うなど、存在感を見せる未来のエース候補生に迫った。

―いわきFCに入ることを決めた経緯を教えてください。
「最後の全国高校選手権で自分がPKを外して、負けてしまった。それが悔しくてもう一回サッカーをやろうと思ったのがきっかけです。それで入ろうと思いました。すぐには切り替えることは出来なかったんですけど、何回か呼んでもらって、やりたいなという気持ちになりました。選手権が終わるまではサッカーを辞めるつもりで、トレーナーになりたいと思っていたので」

―いわきFCに入ってからご自身に変化はありましたか?
「最初は筋トレとかめっちゃきつかったんですけど、最近は慣れてきたというか、少しずつ強くなってきたのかなと思います。高校の時も筋トレはやっていたんですけど、あまりサッカーに繋がらない筋トレというか、とりあえず鍛えておけばいいという感じでやっていました。でもここではサッカーの動きとかを筋トレに取り入れたりしています」

「午前中は練習を行い、仕事は14時から19時まで働いています。最初は仕事とサッカーの両立はなかなか難しかったのですが、今はどちらも集中して取り組めるようになりました」

―これだけのサポートがあればサッカーがうまくなっている感覚もあるんじゃないですか?
「上手くなっているかは分からないですけど、体が強くなっているのは感じます」

―どんな選手になりたいですか?
「どんな相手にも通用する選手になりたい。自分はドリブルが得意だと思っている。ゴールにもアシストにも常に関われる選手になりたい。自分が思っているプレーが出来たら、ほかの選手にも勝てる自信はあります。自分の思っているプレーが出せれば、もっといい地位にいけると思っています」

―アンダーアーマーが全面的にサポートしています。スパイクは「スピードフォーム」を履いていますね。
「第一印象はかっこいいなと思いました。これまでもスパイクを選ぶときはシンプルなデザインがいいと思ってきました。一色で一個マークが付いているというデザインが好きなんです」

「このスパイクを履いてもう5か月になります。このスパイクは中敷きがないんですよ。だからとにかく履きやすいですね。走りやすさも抜群なんです」

―開幕戦で話を聞いたとき、いわき復興への思いが強いという話をしていましたね。
「僕の実家は小名浜というところにあります。ドームいわきベース(DIB)から車で10分くらいのところです。高校は茨城に行きましたが、そこから通っていました。中学1年生の終わりに東日本大震災がありました。自分の地域は大丈夫でしたが、相馬とかのほうはひどかったので、一緒にサッカーをやっていた子たちも大変な思いをしたと聞きました。サッカーを通じてじゃないと自分は何もできないと思っています。そのサッカーを通していわきを盛り上げたいという思いが強いです」

―いわきFCを上位リーグへ引き上げることが地元への恩返しになる。
「チームでやるべきことをやっていけば上に行けると思っています。今後はどんな相手にも自分のプレーが通用する選手になることで、チームのためにアシストやゴールをたくさん取って、たくさん貢献していきたいと思います」

(取材・文 児玉幸洋)

TOP