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J3で衝撃を受けたラインの上げ下げ。経験を還元したCB岡崎慎がFC東京U-18の基準引き上げ、頂点導く

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[8.4 クラブユース選手権(U-18)決勝 FC東京U-18 2-0 清水ユース 味フィ西]

 J3での経験を見事に還元した。FC東京U-18のCB岡崎慎(3年)は今季、高校生ながらFC 東京U-23の一員としてJ3の19試合で先発フル出場。高円宮杯プレミアリーグEASTを戦うU-18チームから離れ、上のカテゴリーでの試合経験を誰よりも多く積んできた。

 その中で、本人が特にユースとの違いを実感したというのがディフェンスラインの上げ下げの部分。「J3で一番最初に衝撃を受けたのがラインの上げ下げでした。(以前の感覚だと)“たかが”ラインの上げ下げかもしれないんですけど、いざ入ってみるとラインを1m上げるだけで攻撃の芽を積んだりとか、本当に一個一個が重要な場面に繋がってくるのでそれをユースに伝えることができたかなと思います」。

 今回、主に平日開催された日本クラブユース選手権に岡崎は帯同。7試合中5試合で先発フル出場した。決勝では、前半終了間際の45分にFW半谷陽介とのコンビネーションで縦パスをピタリと通して2点目のゴールをアシスト。また、本人は失点してもおかしくないシーンが2度、3度あったことを認めるが、それでも特に後半は相手をシュート1本に封じて完封勝利を果たした。

 この日、最終ラインでダントツに早くポジショニングを取っていたのが岡崎だった。わずかな動き直し、アップダウンの繰り返し。それが清水ユースのスペースを消し、精度を狂わせることに繋がっていた。佐藤一樹監督も「彼はJ3でやってきた。強度もその基準でやってくれたのは、チームにいい影響を与えてくれた」と讃える。

 J3でのプレーを重ねる岡崎にとって最も学びとなったのが5月の大分戦。日本代表DF丸山祐市とともにプレーした45分間だ。「全然スピード感が違ったんですよ。あれを基準にしなきゃJ1のレベルには追いつくことができない。J3のレベルも高いんですけど、J1のレベルはもっと高いので。それを肌で感じることができたのは自分は大分大きいなと思います」。J1トップクラスのDFとプレーしたことでより判断の速さを必要性を学んだ。その基準をチームメートに声やプレーで伝えながら目標の日本一も勝ち取った。

 自分が加わることで、結果を残さなければならないと考えていた。試合展開を読み、仲間に声がけする部分は特にやらなければならないと感じていた部分だ。「今年のチームは前線が強く、基本は押し込まれていない時間が多いので、その時にどういったリスク管理をするのかとか、声掛けをするかで流れは全然変わってくる。あと、ラスト10分だったり、入りの10分だったりとかゲームの流れを左右するところはしっかりするように(鈴木)喜丈選手と声を掛けてやっていました」。FC東京U-18の優勝は試合の肝となる時間帯を常に締めて臨んでいたことも大きかったかもしれない。 

 U-18チームの仲間たちと日本一を喜んだ岡崎だが、今後はまた主にJ3でプレーしていくことが濃厚。その注目DFは、シーズンの残り半年をどのように過ごしていくのか。「唯一J3でフルで出させてもらっているのでこのユースのレベルで全国優勝するのももちろん嬉しいんですけど、いまプロの世界に片足突っ込んでいるので、まずは自分のレベルをしっかりと上げたいと思っています」。将来、J1で躍動するCBになるために、少しでもトップレベルに近づく1年を送る。

(取材・文 吉田太郎)
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