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大体大MF浅野雄也「力が足りてない」と反省…リオ五輪戦う兄へエールも

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[8.10 総理大臣杯準々決勝 明治大3-0大阪体育大 ヤンマースタジアム]

 大阪体育大明治大に0-3の零封負け。優勝した2011年大会以来となる4強進出は叶わなかった。試合後、先発した大阪体育大MF浅野雄也(2年=四日市四郷高)は「勝ちたかったです」と悔しさをかみ締めた。

 公式記録上、浅野が放ったシュートは0本。ゴールネットを揺らすことなく、0-3の後半24分に交代した。2年生にして背番号9を着けるMFは「全然、この大会で点を取れていなかった。前の選手は点を取ることが全て。そういう意味では自分の力は全然足りてないのかなと思います」と悔やむ。

 雄也は、2歳年上の実兄であるリオ五輪代表FW浅野拓磨(アーセナル)を幼い頃からライバル視して、その背中を追ってきた。だからこそ、先を見据えては「自分と拓(兄)とを比べるのではなく、目の前の自分の壁というのをひとつひとつ乗り越えていくのが大事かなと思うので。これからはあまり拓を意識せず、自分らしくプレーしていきたいですね」と強く誓った。

 先行く兄は、現在ブラジルの地でリオデジャネイロ五輪という大舞台を戦っている。サンフレッチェ広島在籍当時から雄也は「悔しいというか、ちょっとあまり見たくない」と言うように、兄の試合映像はリアルタイムで見てこなかった。

 今回のリオ五輪もニュースなどハイライト映像を見ているといい、兄のコロンビア戦での得点シーンについては「あのレベルで点を決められるのは本当にすごいと思います」と素直に言った上で「……でも、悔しいですね」と複雑な表情を浮かべた。

 ライバルでもあり、歳が近いこともあって仲も良い二人。それでも、兄のアーセナル行きはまさに“寝耳に水”だったという。報道で移籍の可能性があることを知り、「うそやろ、絶対うそや」と疑った。本人に直接聞くことははばかられたため、まずは母に連絡。「はっきりとはわからないけど、そういう話もあるみたいやな」と言われ、「そんなことあるか? 早ないか? 」とただただ驚いた。

 それでも7人兄弟でも年が近く、切磋琢磨してはボールを追い続けてきた雄也は兄の気持ちを思っては、「小さいときから浅野家は全員“いつか世界でやりたい”と言っていたので。尊敬しないといけないところかなと思います」と恥ずかしそうに“弟”らしい顔をみせた。

 直近での兄弟のやり取りは、リオ五輪直前ではなく、兄のアーセナル行きが正式決定した直後。「(まだ広島での試合が残ってるから)あと2試合頑張ってくれ」と連絡すると、「ありがとう! お前もな!」と返事があったという。今度は弟が大臣杯で、兄はリオで結果を残し、連絡を取り合うのが理想だったかもしれないが、雄也は準々決勝で敗退。それは叶わなかった。

 弟は全国4強を前に敗退が決まった。奇しくも“同日”に兄はブラジルの地でグループリーグ突破のかかった運命の一戦を迎える。雄也は「拓も前の選手なので、やっぱり点を取って欲しいですけど。とにかくまずはチームのために。グループリーグを抜けて欲しいです」とエールを送った。

(取材・文 片岡涼)
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