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[MOM395]明治大DF鳥海晃司(3年)_定位置再奪取のチャンスに先制点献上も…逆境跳ね除けたDFが決勝アシスト

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[8.12 総理大臣杯準決勝 桐蔭横浜大 1-2 明治大 ヤンマースタジアム長居]

 24人の選手がチームに帯同する明治大だが、DF鳥海晃司(3年=千葉U-18)のみがここまで出場機会なし。準決勝の桐蔭横浜大戦は、待ち焦がれた待望の出場機会だったが、開始5分に自らが競り合ったクリアボールが味方とMF名畑典樹(4年=富山一高)の競り合いに。混戦からこぼれたボールが自らの背後にこぼれた所を、FW今関耕平(4年=千葉U-18)に決められてしまった。

「せっかく貰えたチャンスだったので、絶対に負けは許されない。ゴールが決まった瞬間、『やばい』と思った」。加えて、想定外の失点によって、「焦りというか気持ちが空回りしてしまい、前に前にと急いでしまった」ため、前半は狙っていたボールを繋ぐサッカーができない遠因となった。

 また、決められた選手も悔しい相手だった。今関は千葉U-18時代の一つ先輩で、「一緒にやってきた仲なので、一番彼のことを知っている。凄く楽しみにしていたし、試合中もいっぱい話をした。CBを組む(小出)悠太くんも中学時代は千葉だったので、『小出と鳥海は嫌だ』って言われたり……」。

 実際にピッタリと張り付く鳥海を嫌がり、今関が遠ざけるような仕草も多々見られたが、警戒すべきだったのは彼一人ではなく、関東選抜にも選ばれるMF石川大地(3年=水戸啓明高)、FW鈴木国友(3年=相洋高)など猛者はたくさん。ある程度はゴール前まで持ち込まれることは覚悟しながらも、「抑えるべき所で抑えることを意識してきた」。

 「ある程度はできたと思う」と口にしたように先制点を与えてからは落ち着いた対応で追加点を与えず一定以上のプレーを披露する中、後半23分にはセットプレーで攻撃の見せ場が訪れる。左CKに対し、「ホテルに出る前にスタッフから、CKの際にゾーンで守ってくるチームが一番やられるのはファーサイドと言われていた」と指示通りのポジションに入ったが、頭上を超えて、相手DFがクリア。こぼれ球をFW木戸皓貴(3年=東福岡高)がダイレクトで打ち返したが、クロスバーに阻まれた。

 2度目のチャンスは35分。DF河面旺成(4年=作陽高)が左CKからゴール前に入れたボールが「次はしっかりボールを見てから入ろうと思っていたら、1本目と同じ所にボールが来た」と鳥海の下に入り、ドンピシャのヘディング弾をお見舞い。ゴールに真っすぐ向かったボールをMF土居柊太(3年=浜松開誠館高)が触り、勝ち越し点となった。

 総理大臣杯前に行った天皇杯の東京都予選の立正大戦では巽豪(4年=國學院久我山高)とCBを組んだものの、4失点を許し初戦敗退。それまでは前期11試合でスタメン出場を果たしてきたが、「監督からの見られ方が変わってしまった」ため、出場機会を失ってしまった。

 冒頭のようにここまで帯同メンバーで唯一、出場機会がなかったが、「凄く複雑な気持ちだったけど、やっぱりチームとしていかに戦うかが大事なので、チームのために何かしないといけない」と雑用をこなしながらも、チャンスを待ち続けた。この日は失点したものの「気持ちが入っていた」と栗田大輔監督が評したように及第点以上の評価を授かったのは間違いない。

 タイトルにかける想いはひと際強い。昨年の決勝も試合終了間際に出場したが、関西学院大の前に屈し、「(下級生で試合に出ていた)悠太くんと一緒に『来年もう一回、ここに戻ってきて、優勝しよう』と話していた」。

 タイトルを逃した昨年からの成長も少しではあるが感じており、「出られない時の振る舞いや、チームへの声掛けやアップ時の態度。私生活からしっかりしないと日本一は獲れないとみんなで話したので、私生活に気をつけるようになった。人間性がよくなれば、サッカー選手としてもよくなるというのが明治大の基本的な考えなので、明治に入ってよかった。何度も同期とぶつかってきたけど、そういうのも財産というか強み」。一度は逃した出場チャンスを取り戻した自身と同じように、今度は決勝の舞台でも昨年逃したタイトルを自らの元に手繰り寄せるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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