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「サッカー選手として、1人の人間として」鈴木大輔がスペインで続ける挑戦(1/2)

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 今年1月、柏レイソルを退団した鈴木大輔は、練習参加を経て2月にスペイン2部のヒムナスティック・タラゴナに入団した。6月には昇格プレーオフで敗れてしまったが、公式戦15試合に出場するなど充実したシーズンを送った。2年間の契約を延長して迎えた8月、背番号18のセンターバックは16-17シーズンの開幕戦をフル出場で終えた。さかのぼること4日前、開幕を直前に控えた鈴木へのインタビュー。その前編をお送りする。

自炊も辞さない
予想外!?の新生活


――スペインでの生活は慣れましたか?
「いまは何の問題もなく暮らせています。何でも揃いますし、過ごしやすいですね。海も近いですし、タラゴナはいい街ですよ。スペイン語は細かい表現はまだ難しいですが、サッカーと日常生活に関しては、だいたい理解できますし、伝えられるようになりました」

――日本にいた頃から準備はしていたんですか?
「周りにスペイン語を話す人がいたので触れる機会はありましたけど、本格的に勉強するようになったのはスペインに来てからです。とにかくサッカー用語だけ最初に詰め込みました」

――ヒムナスティックは100年の歴史を誇るクラブなので、サポーターも情熱的なイメージですが。
「スタジアム以外では、想像していたより情熱的じゃないですね(笑)。日本のようなファンサービスがないというのもありますが、練習を見にきて終わったら帰るという感じです。街で会っても軽く声をかけられるくらいで。みなさんフランクな感じですよ」

――食事の面でもスペインに順応されていますか?
「朝昼はクラブで食事が出ることがほとんどです。夜は体のことも考えて、外食ではなく自炊をしています。調味料を日本から持ってきていて、スーパーで肉を買ってしょうが焼きをつくったりする程度ですけど。食事で足りない分はサプリメントで補っています」

――いろいろな意味で新鮮じゃないですか。
「1人暮らしで自炊なんてプロになってから初めてですよ(笑)。新鮮というより『まさかこんな日がくるなんて!』という驚きのほうが大きいです。柏でチームメイトだった大津(祐樹)とは仲が良いので、ドイツやオランダでプレーしていたときの話はいろいろ聞いていました。海外での生活の難しさという部分では大津の体験談が、活かされている点もありますね」

――サプリメントはスペインで調達されているのですか?
「日本で飲んでいたDNSのサプリメントを大量に持ってきています。チームには許可をもらっていて、練習後にはプロテインでたんぱく質を補給して、R4で体をリカバリーしています。チームメイトからは『何それ?』と聞かれるんですけど、詳細に説明する語学力がまだない(笑)」

――ここ数シーズンは大きいケガをしていない印象ですが、サプリメントが影響しているのでしょうか。
「直接の原因になっているかは誰にもわからないですけど、『自分の体と向き合う』ことに取り組めているのは大きいと思います」

オフには日本で肉体強化
世界に負けない「体の使い方」


――16-17シーズンの開幕に向けて、チームの仕上がりはいかがですか?
「ヨーロッパ独特だと思うんですけど、キャンプが始まってから開幕までの間に選手の入れ替わりが激しくて。プレシーズンで8試合を戦ったんですが、まだまだという印象。チームをつくっていくという意味では、開幕した後も進んでいくと思います。新しい選手がチームにどのようにフィットしていくかはまだ未知数。チームのコンディションの善し悪しは、これからですね」

――鈴木選手自身の調子は?
「プレシーズンマッチでは、徐々に出場時間を増やしていくようチームに指示されていました。僕もシーズンの中で仕上げていく感じです」

――オフの間には日本でトレーニングをされていたとか。
「ここ何年もお世話になっているドームアスリートハウスで体をつくっていました。シーズンが始まると試合の連続になってしまうので、オフの間に自分の体のどこを強化するかを明確にして取り組んでいます」

――今オフではどこを強化されたんですか。
「スペインでプレーする中で、海外の選手は体の使い方が違うと感じていました。ボールを取れそうなところで体を上手く入れられたり、出るはずがないと思っていたところで一歩が出たり、一瞬のスピードが速かったり。筋力的にはそんなに差は感じなかったので、体の使い方の部分に特化したトレーニングをトレーナーと相談しながら取り組みました。トレーニングの成果はすぐにわかるものではないと思うので、シーズンの中で感じていけると思っています」

※インタビュー後編につづく

(取材・文 奥山典幸)

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