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日本代表メンバー発表、ハリルホジッチ監督会見要旨

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 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は25日、都内のJFAハウスで記者会見を行い、9月1日のW杯アジア最終予選・UAE戦(埼玉)、6日の同タイ戦(バンコク)に臨む日本代表メンバー24人を発表した。

以下、ハリルホジッチ監督会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「厳しい戦いがこれから始まる。我々のグループでは5つのチームが予選突破を懸けて戦う。オーストラリア、UAE、サウジアラビア、イラク、日本、そしてタイを含めた5チームが上を目指して戦う。最後にタイを言ったが、タイを決して忘れてはいけない。特に国内での試合で彼らは強い。私が耳にしたのは『予選突破は何とかなるだろう』という声だ。『日本のほうが強いから何とかなるだろう』という噂を耳にする。もちろん彼らの言うとおりだが、関係者にいろんな話も聞いた。前回もいろいろ難しい状況があったということだった。今回も厳しい戦いになる。最終予選は絶対に取りにいかないといけない。だれかがくれるわけではない。ホームだろうがアウェーだろうが、(勝利を)取りに行かないといけない。我々はその野心を持っている。強い決意と勇気を持って最終予選を勝ちに行く野心を持っている。

 まずはUAE戦が9月1日に埼玉である。次にタイで試合がある。9月6日に彼らのホームで対戦する。我々の中にもすでに困難が含まれている。15分前に良くないニュースを受け取った。このリストに載っていた、ある選手がケガをしてしまったという情報だ。そうはいっても、すでにバックアップメンバーは用意してある。ただ、日曜日に現場でケガの様子を見たい。そういう困難も含まれている。他の問題としては、海外組がスタメンで出ていないということもある。ケガを抱えたままシーズンを始めてしまった選手もいる。移籍したばかりの選手もいる。先発を勝ち取らないといけない状況だ。そういった困難がありながらも、我々の決意は変わらないと思う。アジア2次予選の1試合目、シンガポール戦は絶対に忘れられない。最終予選の1試合目はより強い相手が待っている。我々のグループの中には前回のアジア杯でベスト4まで行ったチームが3チームいる(オーストラリア、UAE、イラク)。UAEに我々は負けている。リベンジよりも強い気持ちで臨まないといけない。埼玉を満員にして、良い雰囲気をつくってもらって、試合後に勝利を祝いたいと思う。

 まずはキーパーから。頻繁に呼ぶ3人だが、個人的にたくさんしゃべることは控えたい。(川島)永嗣には昨日も電話したが、まだ労働許可証が十分にそろっていないという話もあった。ただ、この競争の中に入っていかないといけないことを認識しないといけない。先発で出られない場合にはこの3人にも入れない。西川、東口、林。この3人を今のところ信頼している。新しいGKコーチも呼んだ。浜野GKコーチと一緒にいろんなチームを回った。この試合のためにこの2か月間準備した。その仕事をここで発揮しないといけないと思っている。

 次にDF。サイドバックは(酒井)宏樹、(酒井)高徳、長友、そして太田をあらためて呼んだ。彼らは海外でプレーしている。今回は左利きが必要かなと思った。太田は親善試合には出ていたが、ここ2試合は出ていない。ただ、彼を呼んでしっかりディスカッションしたい。彼が試合に出るかは様子を見る。

 真ん中の4人だが、15分前に槙野に関して悪い情報が来た。ケガをしたということだった。(クラブで)検査をしたが、その結果が良くなかったということだった。ただ、(合宿初日の)日曜日に来てもらって、我々のメディカルスタッフの分析を受けて、もしかしたらもう一度メディカルチェックを受けないといけないかもしれない。その結果を見て考える。バックアップメンバーはDFも用意している。槙野がダメだったときはすぐに呼べる準備もしてある。槙野はパフォーマンスが良くなってきたところだったのでちょっと残念だが、こういうことはよくある。

 中盤に行く。ディフェンシブハーフは長谷部、そして(山口)蛍もあらためて呼んだ。(柏木)陽介、そして大島。若い選手だが、かなりのクオリティーがある。アグレッシブさのところでまだまだ伸びしろもあると思っている。五輪にも出た。若い選手を信頼して使っていかないといけないと思っている。私の考え方として、若い選手で出る資格があれば問題なく呼ぶ。

 攻撃的MFは我々と常にサッカーをしている2人だ。香川は前回の試合で2点取った。清武もあるクラブを見つけた。かなりのトレーニングを積んでいると聞いている。セビージャの監督は私と同じぐらいか、それ以上に要求しているようだ。清武にとっては良いことだと思う。(清武は)テクニックがかなりあるので、それ以外のところも伸ばせる格好の場所だと思う。セビージャで成功する確信を私は持っている。日本人がビッグクラブでプレーしているのはうれしいこと。ビッグクラブで先発を勝ち取るのは難しい。何人かの選手はまだまだ競争にさらされている。

 そして、このポジションではバックアップメンバーに年齢の少し高い選手を用意している。年齢が少し上だとしても、川崎のプレイヤー、つまり今、日本で一番強いチームということで、みなさんにお伝えする。35歳といっても、もし何かあったときには常に頭に入っている選手。彼をバックアップメンバーとして用意している。

 ウイングの4人。ここにはまだまだ改善の余地がある。今回、7人のFWを用意している。(本田)圭佑、(小林)悠、宇佐美。宇佐美はドイツのクラブに行ったが、今のところあまりプレー時間がない。私の仲間が2、3回コンタクトを取ったところ、『俺は疲れているけどあきらめない』ということだった。そういうコメントを宇佐美から聞けるのはうれしい。(原口)元気もここに常に入っている。

 それからオカ(岡崎)。オカはプレミアリーグでプレーしている。オカに関してはA代表とクラブでまったく役割が違うが、それは今回も一緒。それから武藤。武藤もケガから戻ってきた。しっかりトレーニングを積んでいると思う。前の試合は出ていないが、開幕戦には出ると聞いている。武藤に関しては安心してくださいという連絡が来ているので彼を呼んだ。

 最も難しい状況として浅野がいる。五輪が終わったあと、彼は日本に帰ってきた。だれが日本に帰ってこいと言ったのか分からないが、『休め』と言われたそうだ。私も直接、アーセン・ベンゲルに電話して、『なぜ日本で15日も20日も休まないといけないのか』という話をした。レンタルされることは決まった。五輪期間中にすべての問題が解決されているはずだった。彼が日本に残らざるを得ない状況だったので、私たちが環境を整え、トレーニングはみっちりやった。しかし、彼がどこにレンタルされるのか。ロンドンに行ったという話は聞いているが、コミュニケーションを取るのが難しい状況にある。そういうこともあり、1試合目(9月1日のUAE戦)に浅野を使えるかどうかはまだ分からない。ただ、この浅野の移籍に関しては信頼している。五輪でも高いクオリティーを見せたし、若さでチームに情熱をもたらしてほしい。良いプレーができるなら試合に出したい。彼も競争に含まれている。

 ここで一つ言わないといけないのは金崎夢生のことだ。リストに入っていたが、前節、残念な態度があった。日本代表の候補である選手があのような態度を取ってはいけない。それが理由で外した。これは日本代表の基準として、全フットボール選手に伝えたい。このような行動を取ると、A代表には入れない。

 3人のキーパーと21人のフィールドプレイヤーを選んだ。このようなメンバーを選んだが、バックアップメンバーとしてGK1人、DF2人、MF2人、FW2人を用意している。みなさんに知っておいてほしいのは、UAEはすでに1か月半合宿をやっているということだ。さらにアルアインに8人、A代表の選手が行って、ACLを戦い、また戻ってくる。トータルで2か月になる。今日はカタールで練習試合をするとも聞いている。現場にスタッフを派遣し、視察させている。ACLもリーグ戦も視察している。ただ、いくつかの試合はクローズだったのでスタジアムには入れなかった。我々自身もしっかり準備して、野心と強い気持ちと勇気を持って臨みたい。1試合目はいつも難しい。ただ、私の一番大好きな言葉はビクトリー。言い訳は探さずに戦っていきたい」

―長谷部が次の試合で100キャップだが、彼に期待することは?
「長谷部はキャプテンだ。この試合を勝利することを期待している。もし勝てば、良いプレゼントになると思う。良い模範となる。彼がキャプテンになるのはまったく偶然ではない。真のキャプテンだと思っている。私は時々冗談を言うが、100試合目で1点取ったら、本当に素晴らしい試合になる。さらに勝てば、素晴らしいお祭りになると思う。100試合を祝福したい。代表キャップで100試合というのは本当にまれだ。前回は岡崎も一緒に祝福したが、長谷部は人格としてもキャプテンとしても私は尊敬している」

―FWを7人選んだ理由は? 五輪から2人を選出したが、この年代への期待は?
「7人のFWに関してだが、浅野の状況が決定的に分からないからだ。それから武藤がどのような状態かもまだ分かっていない。選手が来てから気づくのでは遅い。もう一つ言うと、長友と清武、原口が火曜日にしか日本に着けない。試合は木曜の夜だから、それが理由で金曜の夜にしてくれと要求したが、それは叶わなかった。宇佐美も試合に出ていない。ただ、トレーニングはしっかりやっていると聞いている。疲労も来ているだろう。コンディションがどのような状態か分からない。そこが我々の不安なところ。他の選手はなぜ呼ばないのかという質問も受けたいが、A代表で準備できる選手がいないのが理由だ。バックアップメンバーとしてサイドのアタッカーと真ん中のアタッカーも考えている。ケガか何かあれば月曜日に呼べる準備をしている。他のFWが来る可能性もある。特に浅野の状態が気になる。

 五輪は全試合見たが、ちょっとしたことで結果は変わったかなと思う。もっと良い結果を出せる可能性のあるチームだった。この3試合で何人かの選手にA代表に入る資格があると気付いた。キリン杯のときにはすでに浅野も大島も予測していた。そして五輪で確認した。若手を信頼して良かったなと。その気持ちを続けたい。将来、大島と浅野がA代表に何か新しいものをもたらす可能性はかなり高い。

 もちろん他の選手も私はチェックしている。ただ、この合宿にはまだ他の選手は呼ばない。例えば、35歳のバックアップメンバーを考えているが、いくつかの試合、状況によっては、W杯予選ということを考えると緊急事態もある。本大会に向けては、若い選手を育てながら戦っていきたいが、最終予選は結果も必要。もっと若い選手を使ってほしいとJリーグのクラブに伝えたい。五輪も見たが、五輪の選手の中でいったい何人の選手が先発で出ているか。リーグ戦で90分間出てないと、やはり追いつけない。そういうことも含めて、若手をもっと信頼して使ってほしい」

―川崎の35歳の選手の話が出たが、どこに期待しているのか?
「理由は簡単で、香川や清武は直前に試合をしてくるので、もしケガをしたら、私がこれまで見てきた選手を使ってみてもいいかなと思っている。(Jリーグで)1位のチームで、良いプレーをしている。信頼して当たり前だと思っている。W杯に向けて準備するうえでは、たくさんのことを予測、予想しないといけない。ギリギリのところでビックリしてはいけない。ここに来る直前にもケガ人の情報が入ってきた。ただ、ケガをするという予測も含まれていた。この選手に関しても予測の一環だ。W杯最終予選はリスクを取れない。ロシアに行くための席を勝ち取らないといけない。ハイレベルなところでは予測がカギになる。悪いことに関して、驚いていては遅いということだ」

―山口蛍の復帰については。金崎に対しては今後どう対処するのか
「蛍に関しては、まったく喜んでいない。彼を元気づけるために、ドイツまで行って、彼に会ってきた。伸びるために、(ドイツに)残って先発を勝ち取ってほしいというメッセージも伝えた。向こうでよいプレーをするためのクオリティーは全部持っていた。ドイツのようなリーグ戦でしっかり戦えば、A代表にとって興味深い選手になるはずだった。ただ、メンタルの面でしっかりアダプトできなかった。それでも勇気を与えようとしたが、蛍に限らず、他の選手ももっとメンタルを前面に出してほしい。国内では楽にプレーできる。リスクもない。(日本に)戻ってくることに関して高い評価はしていない。ただ、これは本人が決断すること。代表監督としてコメントするが、良い選手をポッと手放すことはできない。毎回、A代表で試合をして素晴らしいプレーを見せてくれている。蛍のようにしっかりボールを奪える選手はなかなかいない。そういうわけで私は呼んだ。彼がどのようにJ2でプレーしているかも3回、現場で見た。(C大阪復帰に関して)うれしくないという気持ちはすでに表したが、彼がここ(日本代表)にいるのは彼が良いプレイヤーであるからだ。

 金崎に関して多くのコメントは必要ないと思うが、彼の態度が私には受け入れがたい。全選手に伝えたいが、こういう行動はA代表の基準に達していない。A代表にとってというだけでなく、若い人たちの良い例になるのかということだ。この先のことはまったく考えてない。UAE戦の準備に集中しているので、そのあとまた考える」

―最終予選に臨むうえで不安材料を挙げていたが、これまで築き上げてきたものに関する手応えは?
「私は常に楽観的だ。初めて21人のフィールド選手を選んだが、たくさんの試合を見てきた。いろんなところに選手を探しに行った。W杯予選には私も経験がある。ちょっとしたディテールがすべてを決める。これからタイに行くが、35度から40度あると言われている国で、湿度もある。胃が消化不良に陥ったり、風邪を引いたりするかもしれない。気候がダメージを与える可能性もあるし、それは絶対に予測しないといけない。着いた日に2、3人病気になって驚くのではなく、いろんなことを予測しないといけない。今回も浅野は普通なら呼ぶべきではないかもしれない。本当は金崎を入れていたが、行動がおかしかったので浅野を入れた。宇佐美に何ができるかは分かっている。能力があるし、どんなタイミングでも違いをつくれる選手。宇佐美を放っておくと、次の月曜日に呼ぶことはできない。その前に呼んでおかないといけない。

 全国民が勝利を求めている。そして結果が出なかったら私を批判する。それは当たり前だ。私の仕事は勝つこと。簡単でないのは分かっている。オーストラリアで行われたアジア杯の日本対UAE戦をさらに2回見た。UAEはPK戦にならなくても勝つ資格のあるチームだった。どんな問題が起きるかも予測している。ビデオも10数試合用意している。UAEの2、3人の選手は非常にハイレベルだ。オマル(・アブドゥルラフマン)という選手の左足は素晴らしい。正確さとスピードが素晴らしい。彼をフリーにしてしまうと、どうなるか。相手から10m離れたら、彼が好きなところにボールを送ってくる。いろんなことを準備しないといけない。そして、選手がそれを実現しないといけない。それをやったとしても、最後うまくいかなかったら、責任は私にある。2か月以上かけてこの試合の準備をした。日本代表のことよりUAEのほうがよく分かっている。そんな状況だ。言い訳を探すためにこういう話をしているわけではない。スタッフ全員で準備してきた。最終予選はさらにレベルを上げていかないといけない。

 五輪を見てほしい。日本の全スポーツでのメダル数はかなり良いランキングだった。スポーツ界全体ではレベルが高いということ。日本の歴史上、初めてのことがいろいろあった。400mリレーで日本の選手がアメリカの選手を破った。アメリカは一人では速い。ただ、日本全員でかかったら、リレーになったら、日本のほうがアメリカより強かった。彼らもアメリカに勝つという自信を持って臨んでいた。そういうところをA代表にも植え付けたい。組織になったら日本人は何でもできる。それを信じる。そういう強い気持ちを持つ。それは自分自身の勇気から始まる。自分をリスぺクトして、次に相手をリスぺクトする。スポーツ面で違う性格を持たないといけない。2、3日で変えるのは難しい。少しずつトレーニングしながらになる。これは全員が入らないといけないプロジェクト。日本の全員が勇気を持たないといけない。我々は最終予選を突破したい。『何とかなるだろう』はもうやめてほしい。何とかなるだろうという発想からリスクが生まれる。日本は予選突破の候補でもない。なぜなら他の対戦国のほうが強い。これからたくさんのことが起こる。UAEの情報はすべて把握している。UAEは2か月間、練習している。黄金世代とも言われている。(09年の)U-20W杯の準々決勝に残ったチームだ。なのに何とかなるだろうと日本は思っている。勝利は準備しないといけない。勝手に来るものではない。いろんな問題もあるが、関係なく勝ちに行きたい」

―アジア杯のUAE戦での失点は意識や戦術で解決できるのか?
「そのときは3つのアクションが重なった。オマル、アリ(・マブフート)という7番の選手が3回ほどフリーになった。毎回、この2人のプレーで完結している。つまり10番と7番をブロックしないといけない。ビデオは用意している。これから選手に説明する。10番をフリーにすると、30m、40m、50mのパスがすごく正確だ。そして彼がボールを持つ瞬間、2人、3人が背後に動く準備をしている。だれがどのようなランニングをするかも把握している。それもトレーニングに落とし込んでいく。90分間、集中しないといけない。我々の長所であるオフェンス面も見せないといけない。より良い攻撃がより良い守備につながると思っている。ただ、今回の試合は何人かの選手が特別に目覚めないといけない試合になる。アジア杯のUAE戦は3回ほどまったく同じアクションがあった。(川島)永嗣が2回止めたが、3回目は決められた。スタッフ全員で10数試合見た。前回のUAE戦も2回見た。3回目ももう一回見るつもりだ」

(取材・文 西山紘平)

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