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山口蛍が顔面骨折以来の代表戦で格段の存在感

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[9.6 W杯アジア最終予選 日本2-0タイ バンコク]

 相手選手との接触プレーで顔面に複数の骨折を負った3月29日のW杯アジア2次予選・シリア戦から5か月あまり。久々に代表戦のピッチに戻ってきたMF山口蛍(C大阪)が中盤での潰し役として格の違いを見せつけ、勝利に貢献した。

「プラスアルファの特別なことはしていない。与えられた役割をこなしただけだし、やるべきことをやっただけ」。淡々と振り返るばかりだが、それがアピールにつながることは本人も分かっていた。

 負傷離脱中の6月、ドイツからわずか半年でC大阪に戻ったが、今季の古巣の戦場はJ2。8月の代表発表では5か月ぶりにメンバーに名を連ねたものの、ハリルホジッチ監督からは「(Jリーグ復帰は)まったく喜んでいない」と言われていた。

 ただ、一方では「毎回、A代表で試合をして素晴らしいプレーを見せてくれている。蛍のようにしっかりボールを奪える選手はなかなかいない」(ハリルホジッチ監督)という高い評価があるからこその再招集。1日のUAE戦では出番がなかったが、先発起用されたこの日は指揮官の期待どおりのプレーを何度も見せた。

 的確な読みと寄せの速さでタイの攻撃を遮断。巧みな足の出し方でボールを奪取。そして奪ってからの素早い縦パスで好機を演出。これには日本サッカー協会の田嶋幸三会長も「蛍が中盤で守備をよくやってくれた」と名前を出して称賛した。

「自分は(監督に)テストされていると思っている」と話す山口。14年ブラジルW杯ではボランチのレギュラーポジションをつかんで3試合に出場したが、「僕は予選を戦ってきたわけではないので」と、どこか控えめでもあった。タイ戦は初めて経験するW杯アジア最終予選の舞台。山口にとっては自覚と自信をつかむリスタートマッチとなった。

(取材・文 矢内由美子)

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