beacon

[選手権予選]前回大会のヒーロー、國學院久我山の名手・MF名倉巧主将「選手権は特別」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[9.10 選手権東京都Bブロック予選1回戦 國學院久我山高 0-1 帝京高 駒沢補助]

 全国屈指の名手としての評価を勝ち取るなど、前回大会で大ブレイクした國學院久我山高MF名倉巧主将はこの日、一発のターンでDF2人を置き去りにして観衆を沸かせるシーンがあった。中盤で良くボールをおさめ、前向きの姿勢をつくってドリブルで仕掛け、後半には2列目から飛び出して決定的なヘディングシュートも。だが、選手権のヒーローはチームを勝利へ導くことができなかった。

「選手権は力の差はあってもそんなの絶対に関係なくて、何が起こるか分からないし、リーグ戦で勝てたとしても選手権で勝てる理由にはならない。選手権は特別だと思う。自分にとっても特別ですし、だからこそ本当に取りたかったんですけど、1回で終わってしまって不甲斐ないというか、今は何も考えられない状況です。迫力の面で相手の方が優っていたし、自分たちのサッカーがあまりできなかった。相手は自分たちのサッカーをやったし、久我山はその迫力に飲み込まれてしまった」と唇を噛んだ。

 抜群のボールコンタクトとボディコントロール、そして視野の広さも兼ね備えた日本高校選抜候補の注目プレーヤー。チームを全国へ導くことで、応援してくれている人たちに恩返ししたかった。「色々な方に応援してもらっていて、知らないような人からもメッセージが来るようになりましたし、本当にありがたいと思っていますし、そういう人たちのためにも選手権に出てもう一回見てもらいたかったです。チームとしても昨年準優勝で今年は優勝しかないと思っていました。インターハイ、関東大会、選手権で一回も結果を残せなくて残念です」。

 主将として迎えた今シーズンは結果が出ずに苦しい1年に。春先はエースFW澁谷雅也が負傷離脱し、負担も大きかったはずだが、その中でリーダーとして、大黒柱としてチームを引っ張ってきた。苦しい1年を過ごす中で得た部分もある。「去年は先輩が引っ張ってくれて前で自由にやるだけだったんですけど、今年はキャプテンとして守備にも走ったり、他の人にも気を配らないといけない立場で去年より全然辛いというか、悩む時期も長かったんですけどキャプテンやれて自分の成長につながったと思います」。思いも大きいだけに敗退の悔しさは簡単に消すことはできないはず。それでも後輩たちのために、残りの高校生活はプリンスリーグ関東昇格という目標に集中する。

 卒業後については関東1部リーグの強豪大学へ進学予定。「高校でなかなかいい結果を残せなかったので、プロになって親に恩返しできるように大学で頑張りたい」。選手権で日本一に輝くという目標を果たすことはできなかった。だが、次の目標実現へ、プロ入りへ、世代屈指の名手は全力でチャレンジする。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2016

TOP