beacon

「川崎の35歳」ハリル発言に憲剛「代表戦の見方変わった」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[9.10 J1第2ステージ第11節 川崎F3-1福岡 等々力]

 不格好でも1点は1点だ。1-0で折り返した後半開始早々の2分、川崎フロンターレはDF車屋紳太郎の横パスにMF中村憲剛が走り込み、PA内に進入。MFダニルソンに寄せられ、シュートはGKの正面を突き、ゴール前にこぼれた。GKとの間に立ってキープの体勢に入ったダニルソン。その背後から中村が左足を振ると、つま先あたりでボールをとらえ、ゴールネットを揺らした。

「(ダニルソンの足元にあった)ボールが見えたから、突っついてみようかなと。あのままゴールキックになるぐらいなら、あらがったほうがいいかなと思った」。ダニルソンの股間から左足を振ってシュート。一瞬の隙を突いた値千金の追加点に「あきらめない気持ちかな。あそこで足を振ったことで何かが起きた」と苦笑いしながらも胸を張った。

 第2ステージ首位&年間勝ち点1位の座をキープし、悲願の初タイトルへ突き進む川崎Fだが、中村にはもう一つのモチベーションもある。先月25日に行われた日本代表メンバー発表会見。バヒド・ハリルホジッチ監督は「川崎の35歳」をトップ下の「バックアップメンバーとして用意している」と明言した。

 名前こそ明かさなかったが、中村を指しているのは疑いの余地がなく、そのことを知った中村自身、「もう代表には縁がないものかと思っていたけど、代表への世界観というか、関わり方は変わった」と率直に認める。

「ゼロ(%)だと思っていたところから、代表に関われる可能性が出てきた。まずフロンターレでしっかり良いプレーをするというのは変わらないけど、モチベーションは上がるし、言われないよりは言われたほうがいい。代表の試合の見方も明らかに変わった。今までも試合は見ていたけど、自分が入ったらという見方はしていなかったから」

 現時点ではMF香川真司やMF清武弘嗣がケガをした場合などに備えたバックアップメンバーという位置づけだが、何が起こるか予測不可能なのがW杯アジア最終予選だ。13年6月のコンフェデレーションズ杯を最後に日本代表から遠ざかっている35歳のMFが「少し芽生えた」と話す代表復帰への意欲。経験豊富なベテランの力が必要になる場面が訪れたとしても何ら不思議はない。

(取材・文 西山紘平)

●[J1]第2ステージ第11節 スコア速報

TOP