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MF川戸2発にMF高井が逆転V弾、日体大が慶大に競り勝つ好ゲーム

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[9.12 関東大学リーグ1部第12節 慶應義塾大2-3日本体育大 保土ヶ谷]

 第90回関東大学サッカーリーグ戦1部の後期リーグが11日に開幕し、第12節が各地で行われた。神奈川県・保土ヶ谷公園サッカー場の第2試合では8位の日本体育大が5位の慶應義塾大に3-2の逆転勝利を収め、3位・筑波大と勝ち点3差の6位へ順位を上げた。慶應義塾大は変わらず5位につけている。

 この日の慶應義塾大は、愛媛FCを退団後に復学していたMF近藤貫太(3年=愛媛)が2列目右サイドへ入り、今季初先発。来季の千葉入団内定DF溝渕雄志(4年=流通経済大付柏高)が不在の右SBにはMF手塚朋克(3年=静岡学園高)が入った。また名古屋内定MF宮地元貴(4年=東京Vユース)はボランチで先発した。

 対する日本体育大は左膝の負傷で8月の総理大臣杯を欠場していたMF高井和馬(4年=千葉SCユース)が実践復帰。横浜FM内定のDF高野遼(4年=横浜FMユース)が左SB、CBでは全日本大学選抜DFンドカ・ボニフェイス(3年=浦和東高)が先発した。

 試合は開始10分に動く。右サイドで受けた近藤がFW渡辺夏彦(3年=國學院久我山高)とのワンツーから抜け出し、相手GKとの1対1から逆サイドへ折り返す。フリーで受けたMF松木駿之介(2年=青森山田高)が冷静に右足シュートを決め、慶應義塾大が先制に成功した。

 試合を通じて近藤と抜群の連携をみせ、可能性を示した渡辺。先制点の起点となった場面については「夏に初めて貫ちゃん(近藤)とやってから、“これはフィーリング合うな”と思った。夏もコンビネーションから崩せたシーンもあって。今日もあの場面はたまたまではなく、それが顕著に出たシーンだったかなと思います」と手応えを語る。

 しかしリードしたのもつかの間、前半16分には日本体育大が追いついた。高野からのパスを左サイドで受けたMF関戸裕希(2年=前橋育英高)がアーリークロス。ゴール正面で待ち構えていたMF川戸大樹(4年=神戸U-18)がヘディングシュートを流し込んだ。

「関戸がボールを持った瞬間。あいつのキック精度は高いので、タイミングよく抜け出せば、ボールが来るかなと思って。中へ入ったら、しっかりボールが来たので合わせるだけでした」

 その後、追いつかれた慶應義塾大は右サイドの近藤を起点にチャンスをつくる。前半17分、攻撃参加した手塚のシュートはGK長谷川洸(3年=東京Vユース)に止められ、同27分には遠目の位置から近藤がFK。右へ開いた手塚へつなぎ、最後はゴール前へ詰めていたDF豊川功治(4年=千葉U-18)が狙うも枠を外れた。一方の日本体育大は守備を固める慶應義塾大を崩すことができず、耐える時間が続いた。

 すると前半終了間際のアディショナルタイム2分、慶應義塾大が二度目のリードに成功する。近藤の蹴りこんだ右CK、FW池田豊史貴(3年=浅野高)のヘディングシュートはポストの前に詰めていた相手DFに弾かれるが、こぼれに反応したのは宮地。「狙ってました。DFに当たって、こぼれた瞬間にいこうと思って」。身体ごとボールを押し込んだ。

 前日に行われたJ1では来季加入する名古屋グランパスが19試合ぶりの勝利を挙げていた。未来の所属クラブがつかんだ希望ともいえる勝利に「名古屋の全ての選手が戦っていて、その中心には闘莉王さんがいた。ああいう存在になれたらいいな」と心揺さぶられた慶大の4番が熱く、泥臭く仕事を果たした。ゴールネットに身体を絡ませながらも、吼えた主将の得点で2-1で前半を折り返す。

 それでも迎えた後半、二度目のビハインドにも慌てずに戦い方をぶらさなかった日本体育大へ徐々に流れは傾いていく。積極的にシュートを放っていくと後半23分にこれが実った。相手のパスをカットし、DF福田圭佑(3年=横浜FMユース)が前へつなぐ。ゴール正面から川戸が迷いなく強烈なミドルシュートを叩き込んだ。

 開幕前の練習試合では「あまり動けなかった」という川戸だが、この日は2発。「自分の特徴として、動いてボールを触って動いて……というのを繰り返していたら、ボールは必ず来るので。そういうところを活かしていければ」という意気でピッチへ立って走り回ると結果につながった。

 2-2と再び追いついた日本体育大。すると後半38分、逆転に成功した。福田、FW里見直樹(2年=大宮ユース)とダイレクトにつなぎ、左サイドの高野がクロスを入れる。詰めていた高井が後方へ少し戻りながらヘディングシュート。これがゴールネットを揺らし、3-2と逆転した。そのまま試合は終了。日本体育大が点の取り合いとなった好ゲームを制し、後期リーグ初戦を白星で飾った。

 日本体育大の鈴木政一監督は「(失点しても)焦ることなく、やろうとすることをして、慶應さんの厳しい守備のなかでどうサッカーをしていけばいいかというのがやれた部分だと思う。後半には慶應さんに疲れも見えてきた中で、個人が活きて点が取れたと思う」と振り返り、「まだまだ一つ一つ改善しないといけないところはたくさんある。改善しながら、少しでもいいチームになれば」と先を見据えた。

 二度のリードを活かせなかったものの、随所で組織として成長した姿を示し、前期リーグとの違いをみせた慶應義塾大。宮地主将は「幸いなことに1週間と空かず、すぐに試合が来るので。流通経済大を倒せば、自分たちはまた波に乗れると思う。結果が全ての世界ですけど、今日も内容は悪くなく、練習してきたことは出せたと思うので、次につながる試合だったと思う」とポジティブに捉え、次節へ向けて意気込んだ。

(取材・文 片岡涼)
●第90回関東大学1部L特集

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