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迫る名古屋の足音…3連敗で15位転落の新潟・吉田監督「あのレベルのプレーをしては…」

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新潟は後半3分、MF中町公祐のゴールで2失点目を喫する

[9.17 J1第2ステージ第12節 横浜FM3-1新潟 日産ス]

 土俵際へ追い込まれた。シーズン終盤にして今季3度目の3連敗を喫したアルビレックス新潟は残留圏ぎりぎりの15位に後退。守備が3失点と崩壊し、「降格」の2文字がちらついてきた。

「イージーに失点したことに尽きると思う」。試合後の記者会見。新潟の吉田達磨監督は厳しい口調で口を開いた。前節・名古屋戦(0-1)に続いてDF松原健、DF増田繁人、DF西村竜馬が3バックを形成。守備時は両ウイングバックのMF小泉慶、DFコルテースも下がる5バックで守りを固めた。

 ところが前半29分、横浜FMは左サイドでフリーになったDF金井貢史がふわりとしたクロスを上げると、これに増田がかぶってクリアし切れず、中央で西村の前に体を入れたMF兵藤慎剛に蹴り込まれた。

「1回のクロスでかぶってしまい、兵藤くんに前に入られた。あそこであのレベルのプレーをしてはいけない。残り5試合しかないが、あってはならない、あり得ないプレーだとしっかり刻んでやらないといけない」

 指揮官の強烈な叱咤。増田は「ああいうイージーなボールでやられてしまうのは改善しないといけないし、(西村)竜馬とのコミュニケーションも上げないといけない。目測を誤ったわけではないけど、あそこは触らないといけない。少しでもかすっていれば、違ったと思う」とうなだれた。

 DF大野和成とDF舞行龍ジェームズを故障で欠く苦しい台所事情もある。しかし、試合は待ってくれない。西村は「先週よりもスムーズにできたし、守備の連係も良くなった。ただ、得点の時間帯や試合運びが向こうはうまかった」と振り返る。

 後半立ち上がりの3分、横浜FMは金井の左クロスからセカンドボールにいち早く反応したのがセンターバックのDF栗原勇蔵だった。FWラファエル・シルバからボールを奪い、MF中町公祐の追加点につながった。この2失点目にも吉田監督は「なんでもないセカンドボールを栗原くんにかっさらわれた」と不満顔。さらに1点を返した直後にカウンターから喫した3失点目には「得点後のこれからという時間にああいうことが起こってしまう」と呆れ気味だった。

 3バックの一角でプレーする松原は「3失点とも防げた失点。もったいない失点」と唇をかむ。「1失点目は僕の背後を取られて、クロスを上げさせてしまった。2失点目はポジショニングのズレ。3失点目は僕がマルティノスに行ったところで入れ替わられて、そこからのカウンターだった」と自らを責めた。

 守備の修正について吉田監督は「直せるかどうかは置いておいて、クロスには寄せに行かないといけないし、脇から出てくる選手は捕まえないといけない。目測を誤る、クロスに合わせられないというのはすぐにポンと直るかというと、資質もある。まずは寄せるというところから徹底しないといけない」と、単純な球際や競り合いへの執着心を求めた。

「戦術はみんな理解しているし、浸透してきている。気持ちなのか、技術なのか、一つ勝つにはもう一つ足りない部分がある。そこを早く変えないと、もう時間はない」と話す増田の表情には悲壮感も浮かぶ。残り5戦の相手は鹿島、磐田、浦和、G大阪、広島。難敵との試合が数多く残っている。

 勝ち点で並んでいた甲府が引き分けたため、順位も15位に転落した。前節の直接対決に敗れたことで降格圏の16位名古屋とは勝ち点4差。もしも今夜の試合で名古屋が勝てば、勝ち点差は一気に「1」へ縮まる。いよいよ追い詰められた新潟。吉田監督は「残りの対戦相手や今の流れがそう思わせるかもしれないが、長いシーズンを戦ってきて、(名古屋が勝ったとしてもアドバンテージが)1ポイントある。それを信じて戦っていくしかない」と、自分たちに言い聞かせるように話していた。

(取材・文 西山紘平)

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