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[AFC U-16選手権]油断大敵の大苦戦。最後は8点大勝も、キルギス戦は00ジャパンに重い教訓を残す

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試合中に話し合いながら立て直したU-16日本代表。キルギス戦は今後への教訓となる試合だった

[9.19 AFC U-16選手権グループリーグ第2節 日本8-0キルギス]

「ちょっと締めないといけない」

 AFC U-16選手権の初戦で7-0の大勝を収めたあと、U-16日本代表・森山佳郎監督はチームの空気が微妙に変わっていることを懸念していた。チームの担当ダイレクターを務める木村浩吉氏も「まだ16歳だから、次の試合は甘さが出るかもしれない」と観ていた。そして案の定、キルギスとの第2戦は何とも難しい流れになってしまった。

 オーストラリアを初戦で破ったとはいっても、キルギスが決して強くないことが見えていたことも油断を生んでしまったのかもしれない。高い強度と集中力で試合に入っていったベトナム戦とは異なり、「少なからず大勝した影響のゆるみが出てしまったと思う」(DF菅原由勢=名古屋U18)。途中からはピッチ内で険悪な声掛けも出るなど、雰囲気も良くはなかった。

 その中でもポジティブな声かけを徹底していたGKの谷晃生(G大阪ユース)が19分の決定機を防ぐと、その後も試合の切れ目などで選手たちが集まって話し合うことに。徐々に状況を改善すると、DF小林友希(神戸U-18)の負傷交代で、MF平川怜(FC東京U-18)が入った影響も大きかった。34分には相手DFのミスを見逃さなかったFW棚橋尭士(横浜FMユース)が待望の先制点。実はこれが日本の最初の決定機だった。「棚橋のゴールでようやくうまくいくようになった」と菅原が振り返ったように、深い意味を持つ1得点だった。

 その後は久保建英(FC東京U-18)、中村敬斗(三菱養和SCユース)がそれぞれ2得点を奪い、棚橋もハットトリックを完成させるなど大量8得点。互いの競争意識がぶつかり合った結果のような、熱いゴールラッシュとなった。

 スコアボードを観れば一方的なゲームだが、「油断大敵」という言葉そのままの罠にハマりかけた試合でもあった。これもまた経験と言うべきだろうし、「次はないようにする」(菅原)ということはマストだろう。この勝利もあってグループステージ突破を決めたものの、本当の勝負はやはり世界切符を懸けての一発勝負となる準々決勝。グループステージで何点獲ろうと、そこで勝たねば意味がない。勝って兜の緒を締める重要性を噛みしめておくという意味で、キルギス戦はチームと選手たちに大一番へ向けた確かな教訓を残すこととなった。

(取材・文 川端暁彦)
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