beacon

千葉DF近藤直也ともつれ、熱さみせた東京Vルーキー井上潮音「経験として…」

このエントリーをはてなブックマークに追加
[9.25 J2第33節 東京V1-1千葉 味スタ]

 ポーカーフェイスのルーキーが感情を露にした。先制した東京ヴェルディだったが、ジェフユナイテッド千葉に追いつかれ、1-1の引き分け。今季初の連勝はまたもお預けとなった。失点につながった場面で、一際熱く抗議していたのは東京VのルーキーMF井上潮音だ。

 後半42分、右サイドからピッチ中央へ流れてきたボールをDF近藤直也が拾い、ドリブルで持ち上がったところで横から身体を寄せた井上と交錯。両者が倒れ込むと、近藤が起き上がる際に振り上げた足が井上の顔面を直撃した。プレーは続行され、最後はFW吉田眞紀人の得点につながった。

 既に前線へ伸びたボールからは、遠く離れた東京Vベンチ前付近での出来事。目前で見ていた東京Vのスタッフや選手はベンチを飛び出し、熱く抗議。井上自身も千葉の選手と言い争った後、上村篤史主審へ抗議した。しかし、判定が変わることはなかった。

 井上は「もつれた後に、わざとか分からないですが、相手の足が頭に入りました。あそこで僕がプレーを続ければ良かったかもしれないですし、立てるのならばすぐに立った方が良かったかもしれない。そこは経験として捉えられれば」と言う。

 両者が倒れこんでいる間に得点は生まれた。頭を打った井上がうずくまっていた際、近藤から「もう失点してるぞ」と言われたことで、「“(頭を)蹴っておいて、なんだ”と熱くなってしまった」と悔やむ。

「熱くなる必要があったかどうか考えると……すぐに立っていたほうが良かったのかもしれないし、冷静にやらないといけなかったのかもしれない」

 まだまだ1年目の19歳。ピッチ上での立ち居振る舞いに迷いはあるようだ。とはいえ、ポーカーフェイスで淡々とプレーしてきたルーキーがベテランDFや主審を相手に毅然とした態度を示したのは、一つの“成長”といえるかもしれない。

「最初よりも自分の主張だったりは、相手にも味方にも出せるようになったのかなとは思います。ですけど、それがいい方向にいくのか、悪い方向のいくのかは考えないといけない」。井上は冷静に先を見据えた。

(取材・文 片岡涼)

TOP