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Bチームの選手が持つ「次はみんなに応援してもらう」という思い、這い上がってきた市立船橋FW矢野が先制弾!

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市立船橋高は前半20分、FW矢野龍斗(左から2人目)が先制ゴール

[9.24 高円宮杯プレミアリーグEAST第14節 FC東京U-18 1-1 市立船橋高 東京ガス武蔵野苑多目的G(人工芝)]

 期待されてきたFWが“ようやく目覚めの時”を迎えようとしている。市立船橋高は前半20分、右のオープンスペースを突いたFW矢野龍斗(3年)が強靭な身体を活かして相手CBのチェックを耐え、入れ替わると、そのまま左足シュートを打ち込んで先制点。ベンチも大いに沸いた一撃でアウェーチームにリードをもたらした。

 この日は前線でよく競り合い、攻撃でタメをつくって前向きに走る選手へパスを通していた一方、自分のシュートレンジでは強引にシュートを打ち切っていた。矢野の体力面や動き出しの面について厳しく指摘する朝岡隆蔵監督も「夏に悔しい思いをした選手。彼自身、この2試合はある程度の成果を出していると思います。頑張る才能が出てきた」と評していた働き。だが、後半に迎えたチャンスで右足シュートがポストを叩き、また10人での戦いを強いられる中で課題の体力面が低下して2点目を奪えず、本人は「10人になっても個人でも点取れるようにならないといけないと思っています」と反省していた。

 182cm、79kgと大型でポテンシャルの高さを認められている矢野は今季、前線の柱候補として期待されていたが、自身の甘さもあって夏の全国高校総体では登録メンバー外に。ピッチサイドからチームメートを応援する側に回った矢野は決勝を前に千葉へ帰り、そこで全国優勝のシーンを見ることに。「映像があってみんな喜んでいるんですけど、喜べない部分もあった」。変わったのはそれから。「同じタイプの村上(弘有、全国決勝で決勝点)や1年生の郡司(篤也)とかも活躍していた。自分がどうすれば出れるのかと考えた時に、自分は人のためにプレーしないので、自分勝手なので、人を上手く使ってなおかつ個を残すという感じで。第一はチームプレーなんですけど、チームプレーしていても個人で打開しないと点は取れない。Bチームのコーチにゴールを取る意識を持てと言われていた。それを積極的にやっていたら評価してもらえるようになった」。この日は後半35分までプレー。出場時間も伸ばしている。

 Bチームを経験してきたFWはその代表として現在を戦っている。外からAチームの試合を見るBチームの選手たちが抱いているのは、自分たちの代表であるAチームを応援する気持ち、そして悔しさ。矢野は「めちゃくちゃ悔しかった。ここで我慢して、次活躍する舞台になったら、みんなに応援してもらうという思いをBチームのみんなは持っている。Bチームで頑張っている人はいっぱいいる。その思いを理解しながらやらないといけない。今、Bチームのみんなが自分に、頑張れと言ってくれる。もっと頑張らないといけない」。Bチームの選手達が持っている悔しさを知るFWはその分もAチームで活躍しなければならない。

 選手権へ向けて「下から這い上がった選手がいればもっとチームも強くなる」と語る矢野。応援される側に回ったFWが、この秋、そして冬、チームを強くする力になる。

(取材・文 吉田太郎)
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