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川島に期待される“メンタルプレイヤー”としての役割、ハリル「彼の存在感が必要」

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ハリルホジッチ監督はGK川島永嗣に“メンタルプレイヤー”としての期待を寄せた

 GKの選考にサプライズがあった。GK西川周作(浦和)、GK東口順昭(G大阪)という常連組の2人に加え、GK川島永嗣(メス)が6月のキリン杯以来となる代表復帰。今季からプレーするメス(フランス)で出場機会に恵まれていない33歳にバヒド・ハリルホジッチ監督はチームを鼓舞する“メンタルプレイヤー”として期待を寄せた。

「(川島)永嗣にはグループの中で特別な役割を担ってもらいたい。発言力もあるし、チームに良いスピリットをもたらすことができるのではないか。リーダーの一人で、経験もある。厳しい戦いで、彼の存在感が必要になってくる」

 9月のW杯アジア最終予選では招集を見送られた川島の代表復帰。メスでは開幕からベンチ外が続いており、1か月前のメンバー発表会見では「(所属クラブで)先発で出られない場合には(GK陣の)3人に入れない」と、選考基準を明確にしていた指揮官だが、「(所属チームで)プレーしていないのは彼だけではない。海外組がたくさんいて、12人ほど先発で出ていない」と前言を撤回した。

「メスというチームの2軍でプレーをしている。それでも悪くないはずだ」。メスの監督に直接連絡を取り、コンディション面も確認したうえで招集に踏み切った。とはいえ、「彼がプレーするかどうかは別問題」と、試合出場は現実的ではない。それよりも「コミュニケーション、励ますところ。この2試合は今までよりメンタルを出さないといけない試合になるので、そのために永嗣を呼ぶ」と、招集理由を明かした。

 チームの精神的支柱としてロッカールームやベンチ、あるいは宿舎でチームを盛り立て、選手を勇気づける。「第3のキーパーを“メンタルプレイヤー”として扱うことはどの国でもあるし、パリSGでもやっている。メンタルプレイヤーを入れて、チームを本当の底から押し上げる。永嗣にその役割を担ってほしい。ツーリストとして選んだわけではない」。

 誤審問題にも揺れた9月1日のUAE戦(1-2)。ハリルホジッチ監督はピッチの中に入って判定に抗議した。「私はあえてグラウンドに入った。私を退場にしてくれという抗議行動だ。やってはいけないが、国民の皆さんに何かアピールできるのではないかと思った」。しかし、日本の選手たちは「不正義なことが起きたのに、それを落ち着いて受け止めてしまっていた」ように指揮官の目には映ったようだ。

 積極的に声を出し、チームを鼓舞する選手の存在。その必要性を痛感したハリルホジッチ監督が白羽の矢を立てたのが川島だった。語学堪能で、指揮官ともフランス語で直接、コミュニケーションを取ることができるのも強み。チーム内の橋渡し的な役割も期待されそうだ。

(取材・文 佐藤亜希子)

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