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[AFC U-16選手権]00ジャパンのリーダー・福岡が見せた腕章に見合う振る舞い

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キャプテンマークを巻いたMF福岡慎平がチームを鼓舞する

[9.29 AFC U-16選手権準決勝 日本2-4イラク]

 スコアボードに刻まれる数字がイラクリードを意味するモノに変わり、下を向く選手が出そうになったとき、手を叩いて周りを鼓舞する主将・福岡慎平(京都U-18)の声が遠く記者席まで届いてきた。「諦めるな!」。10人に減ってリードを許す絶望的な状況ながら、それでも最後まで戦う姿勢を貫いたチームの中心に、日本のキャプテンが確かにいた。

 以前、キャプテンマークを預かるようになったとき、その腕章を巻く意味について聞いたことがある。シンプルに返してきた言葉は、「重いっす」。自身が努めてきたのは、重さに見合うプレーをすることと、周りを引っ張っていくこと。決して多弁なタイプではないが、オフ・ザ・ピッチを含めたサッカーに対する真摯な姿勢を買われての抜擢だった。「盛り上げてくれる選手は他にいるので、自分はオンとオフの切り替えのことを考えていられる」と、瀬古歩夢(C大阪U-18)や菅原由勢(名古屋U18)といった明朗快活な仲間たちを信頼しながら、芯の強いチームであろうと腐心してきた。

 迎えた準決勝、「もっと個の力を高めないと」というコメントに思いを込めたように、自身のパフォーマンスに納得していたわけでは決してないだろう。連戦の疲労からか、いつものエネルギッシュさを思うと、後半のプレーに少し物足りなさがあったのも事実だ。ただ、戦う姿勢だけは最後までは崩さなかった。

 無念の敗戦に終わった後の立ち居振る舞いも印象的だった。泣きじゃくる選手もいる中で気丈に振る舞い、テレ朝チャンネルでの生中継取材にも堂々と答えを返し、インタビュアーを感心させていた。「重い」と言っていた腕章に見合う振る舞いを、16歳の若者が全うして、大会を終えることとなった。

 しかし、世界切符を手にした以上は大会が終わっても、チームは終わらない。次なる戦いに向けて牙を研ぐのみである。「こういう(イラクのような)速い相手になると、一瞬の隙でやられてしまう」と課題を噛みしめつつ、「世界大会で借りを返す」と宣言。かつて指揮官から「心中してもいいと思える人間性がある」と評された日本の10番にして主将の言葉を共有し、“00ジャパン”は来年秋の本大会を目指してリスタートする。

(取材・文 川端暁彦)
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