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[ADIDAS CUP 2016 in TOKYO]怪我人続出も鹿島学園はチームの底上げ期待、C大阪内定MF大山擁する札幌大谷に競り勝つ

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鹿島学園はFW中野大飛(左)のゴールによって札幌大谷に競り勝った

[10.1 ADIDAS CUP 2016 in TOKYO 札幌大谷2-3鹿島学園 流通経済大グラウンド]

「アディダスカップ 2016 in TOKYO」は1日、大会2日目の15試合を行った。流通経済大グラウンドで行った第1試合では、鹿島学園高(茨城)が札幌大谷高(北海道)を3-2で下した。

 これまで仙台、大阪、福岡、そして沖縄で開催してきたアディダスカップ2016はグループリーグを行ってから決勝トーナメントに進むという方式が執られてきたが、東京大会は順位は決めず、交流試合の意味合いが強い。ただ首都圏開催、そして全国高校選手権予選に向けた最後の調整の場とあって、最高レベルの出場校が集い、火花を散らしている。

 夏の全国高校総体で3回戦敗退となった鹿島学園は、全国でのリベンジに燃えている。しかし現在は怪我人の続出に苦しみ、メンバー構成に四苦八苦。鈴木雅人監督も「怪我人が多くて、今はごちゃごちゃなんです。試合に出ている子も怪我持ちの子が多いので…」と現状に頭を抱えている。

 そしてこの日の試合でも、ペースはセレッソ大阪への入団内定が発表になったばかりのMF大山武蔵(3年)を擁する札幌大谷が握っていた。中盤の底に大山を置くことでボールを落ち着かせる札幌大谷は前半12分、相手の隙を見逃さなかったMF木村太哉(3年)が右足を一閃。豪快なミドルシュートを突き刺し、スコアを動かした。

 しかし鹿島学園は少ないチャンスを確実にゴールに繋げるサッカーを見せる。前半22分、FW山田敬吾(3年)がGKをドリブルで外して、右足で流し込み同点。さらに同30分には左サイドからのCKを獲得すると、ニアに飛び込んだDF西村陽太(3年)が頭で押し込み、一気に試合をひっくり返した。

 それでも札幌大谷は前半39分、木村が右サイドから上げたクロスをFW細川栞太(2年)がヒールキックで合わせて流し込み、前半のうちに試合を振り出しに戻す。さらに後半に入っても流れを継続させたが、同21分に細川が迎えたGKとの1対1の場面でシュートを枠外に外してしまうなど、勝ち越し機を決めきれない展開を続けた。

 そこで鹿島学園は後半24分に8人を一気に交代。流れを変える手段に出る。するとあれだけ一方的だった流れが一変、鹿島学園が怒涛の攻撃を仕掛けることになる。そして後半30分、右サイドから上がったクロスを上手くトラップで受けたFW中野大飛(3年)が反転シュート。豪快弾がゴールネットに突き刺さった。

 鹿島学園が抱える怪我人の中は、第五中足骨骨折のキャプテンのDF塩野清雅(3年)や、ヘルニアで離脱中のエースのFW上田綺世(3年)など主力メンバーが大半。選手権までに何とか間に合うかといった状態だ。ただ北海道の強豪、選手権出場も有力視される札幌大谷を相手に勝ち切ったという結果は何よりも大きい。鈴木監督は「フレッシュな選手が結果を出しただけ」と謙遜したが、「怪我人の回復を待って、いい状態を作っていきたい。その間にチームの底上げが出来ればいい」と手ごたえも感じている様子だった。

 一方の札幌大谷も有意義な一戦と前向きに捕らえている。「いろんなエラーが出ることは、なかなか北海道では経験できない」と語ったのは田部学監督。10番MF大山も「今年は全国の強豪とどう戦うかというのを追及してきた。今回の遠征に来て、通用しない部分もあるが、自分たちのペースで動かすことが徐々に出来てきている。それを出せれば、北海道予選も勝てるし、全国でも通用するのかなと思います」と収穫を口にしていた。

(取材・文 児玉幸洋)
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