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ハリルJに前回の教訓?「寝ている選手がいた」ミーティングも「やり過ぎた」戦術練習も減少

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練習前の円陣で指示を出すハリルホジッチ監督

 1か月前の教訓の表れだろうか。試合2日前に全25選手がそろった日本代表は4日、冒頭部分以外、非公開で練習を行い、6日のW杯アジア最終予選・イラク戦(埼玉)に向けて調整した。

 まさかの黒星スタートとなった9月1日のUAE戦(1-2)。その反省を生かした。前回の合宿では「ビデオミーティングの間、寝ている選手がいた」こともあり、ハリルホジッチ監督は事前に対戦国の映像を選手に配布。メンバー発表会見で「2試合ほど合宿までに見て来てもらって、合宿でミーティングの時間を短くする」と話していたが、その言葉どおり、合宿3日目となった4日の練習時点で、まだチーム全体のミーティングは行っていないようだ。

 ある選手は「メリハリというか、今までは多すぎたイメージもある。そこを考慮してこういう形になっていると思う」と語る。DF森重真人は「全体のミーティングはやってない」としたうえで、「テグさん(手倉森誠コーチ)とかと守備の映像を見て、修正する場面はあった」と、手倉森誠コーチと一緒に9月の試合を振り返る時間があったことを明かした。

 リオ五輪代表を指揮した手倉森コーチの復帰は五輪世代の選手にとっても心強い。FW浅野拓磨は「ピッチの中でもテグさんは声を出してくれるし、雰囲気が変わった。頼りになる人がまた一人増えた安心感がある」と歓迎。「いるのといないのとでは、僕らの世代は違う。テグさんが入って、笑いの数は多少増えたんじゃないかな」と、チーム内の変化を語る。3日の全体練習後、DF植田直通が居残りで手倉森コーチとマンツーマンでヘディングの練習をする姿もあった。ハリルホジッチ監督と選手をつなぐ橋渡し役としても、その存在感は高まっている。

 練習メニューにも“変化”があった。UAE戦2日前の練習では「45分に9個のテーマ」を詰め込み、「疲労があった選手をさらに疲労させてしまった」と後悔していたハリルホジッチ監督。「前回の火曜日はちょっとやり過ぎたかなと私も思う」と話していたが、同じく試合2日前の火曜日だったこの日は練習冒頭の円陣で「リラックスした中で落とすところは落とそう」と選手に呼びかけ、練習を終えた選手からも「今回はいつもより軽め」「あれもこれも言っているイメージはなかった」という反応が返ってきた。

 森重が「国内組はみんな試合に出ていて、コンディションも悪くないので、無理に上げる必要はない。コンディションがバラバラなので、全体のトレーニングをどうするかは難しい」と指摘するとおり、この日も別調整の欧州組がいるなど、全体で練習できる時間はほとんどない。ミーティングを減らし、戦術メニューを減らし、重視するのは選手のメンタル面とコンディショニング。UAE戦の失敗を繰り返したくないハリルホジッチ監督の“方針転換”は吉と出るか。

(取材・文 西山紘平)

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