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成長の実感は「あります」 横浜FMでもがき苦しむ“ヒガシの元10番”中島賢星は信じる道を進む

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後半35分から出場したMF中島賢星

[10.9 ルヴァン杯準決勝第2戦 横浜FM1-1G大阪 日産ス]

 もがき苦しんでいる。ただ確実に成長の手ごたえも感じている。横浜F・マリノスの高卒2年目MF中島賢星は、成長している実感はあるかとの問いに、「あります」と力強く答えた。

 中島は高校時代、名門東福岡高で背番号10を付けてプレーした。高校3年生では主将を務め、夏の全国高校総体で頂点にも立った。しかし鳴り物入りでJリーガーになった18歳にも、プロの壁は容赦なく立ちはだかった。1年目はリーグ戦は数試合ベンチ入りしたものの出場はなく、ナビスコ杯(現ルヴァン杯)に3試合出場しただけ。今季も状況は変わらず、リーグ戦の出場はなかった。

 そして若手のアピールの場とも言われるルヴァン杯でも今季はグループステージ2試合に出場したのみ。G大阪との準決勝第2戦でもベンチ入りしたものの、出場の可能性は低いと感じていた。

 しかし同点の後半35分、勝ち上がるために絶対に得点が必要な中で、エリク・モンバエルツ監督は中島の投入を選択した。ボランチに入るも、攻撃力を期待されてのものだった。限られた出場時間でもしっかりアピールすることが求められていた。

 ただし結果はシュートゼロ。ゴール前に顔を出すことも出来なかった。「試合のための準備が出来ていなかった」と悔やんだ中島。「ポジショニングや周りとの連携。あとはイメージのところですが、あの状況で入ったのであれば、もっと前に行かないといけなかった」。課題が多いことは誰よりも自覚している。

 それでも普段、指をくわえてチャンスを待っているわけではない。最近はSBやSHの練習に取り組むなど、プレーの幅を広げる努力をしている。「今日出たことで発見もあった。次に繋げていきたい。チャンスは来るべくして来たと思う。やっぱりああいうチャンスがいつ来てもいつも通りの自分をピッチで表現できるような選手になっていきたい」。ユーティリティさは必ず武器になる。20歳はまっすぐに自分の信じる道を進む。


(取材・文 児玉幸洋)
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