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「雰囲気に呑まれた」最低の前半。U-19日本代表に求められた修正力と柔軟性

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MF堂安律はマンマークを受ける中でのプレーに

[10.14 AFC U-19選手権GL第1節 日本 3-0 イエメン]

 何とも酷い出来の前半だった。AFC U-19選手権グループステージ第1戦。イエメンと対峙したU-19日本代表は、「チグハグさがあり、非常に視野の狭い中で、次の意図がないプレーの連続ばかりでミスが出てしまった」(内山篤監督)。技術的・戦術的な理由もあるが、やはり一番の要因は「雰囲気に呑まれている感じがあった」(DF舩木翔=C大阪U-18)ことだろう。

 想定内ではあった。内山監督は2年前のAFC U-19選手権で「本当に信じられないくらい、選手たちが硬くなった」ことをコーチとして体感していただけに、「今回もきっと硬くなるとは思う」と予測はしていた。ただ、これはもう選手たちに乗り越えてもらうしかない部分でもある。「これがアジアの大会の初戦という意味でいろんな意味でのプレッシャーだった。初戦で非常に硬くなることを予想はしていたのですけれど、難しいゲームだった」(同監督)。

 また、戦術的な要因としてはイエメンがMF堂安律(G大阪)にマンマークを貼り付けてくる中で戦術的なバランスを上手く取れなかったことにある。「(堂安)律にマンマークが来る中で、DFが必ず1枚フリーになっていたんですけれど、(そのときに)もっと裏に抜け出る動きがあれば」と舩木が振り返ったように、前半はスペースへの動き出し自体が全体に乏しく、相手が構えている状況の中で強引なドリブル突破からボールを失う、出しどころに迷ったボールホルダーがミスパスを出して逆襲を食らうといった、まさに「チグハグ」の流れになってしまった。

 後半開始早々のFKからFW小川航基(磐田)が頭で決めて試合を動かしたことでゲームの流れは反転し、最終的には3-0での勝利となった。ただ、前半の不出来は猛省の必要があるだろう。攻撃は完全に停滞し、枠内シュート・ペナルティーエリア内のシュートは共に0本。流れの中から記録したシュートも、MF三好康児(川崎F)が放ったミドルシュート1本のみだった。

「みんな『自分が、自分が』というのがあった。自分も少し気負いすぎていた」と堂安が振り返ったように、自分で何とかしようという意識をそれぞれが持つ余りに空回りしてしまったのも否めない。マンマークにしても、冷静に人とボールが動いていけば、いくらでもチャンスにはなったはず。右SBの岩田智輝(大分)が「信じられないくらいフリーになっていた」(堂安)のも活用しきれなかった。

 結果が白星になったことで、これは教訓にできる。あらためて徹底すべきは「チームとしてずっと作り上げてきた、観ることと判断を共有するというところ」(内山監督)。次のイラン、第3戦のカタールはイエメンと違って個の能力で勝負できる選手たちがそろっている。ハーフタイムでの修正を待つのではなく、ピッチ上で相手のやり方を察しながら自分たちのやり方をアレンジしていく柔軟性を持つこと。それはアジアを突破する上で欠かせないポイントとなるはずだ。

(取材・文 川端暁彦)
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