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泣きたくはなかった…G大阪FW呉屋、PK失敗の経験は「絶対無駄にしない」

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ルーキーながらも決勝の舞台に立ったガンバ大阪FW呉屋大翔

[10.15 ルヴァン杯決勝 G大阪1-1(PK4-5)浦和 埼玉]

 22歳の大卒ルーキーがPK戦の4人目として、ボールに向かった。しかし、ガンバ大阪FW呉屋大翔が右足から蹴り出したボールはGK西川周作にストップされてしまう。5人全員がPKを決めた浦和に敗れたチームは、タイトルを逃してしまった――。

 1-1で迎えた後半終了間際の同43分にピッチに送り込まれて最前線に入った呉屋は、延長戦に入ると鋭い動きからゴールに迫る場面を作り出す。延長後半14分にはMF藤本淳吾のパスからPA内に進入してゴールを脅かしたが、ポストを叩いたボールはゴールラインを割る直前にDF森脇良太のクリアされてしまった。「チャンスを決め切れなくて、本当に悔しかった」。

 そして同点のまま延長戦終了のホイッスルが吹かれ、勝敗の行方はPK戦に委ねられることに。ともに3人ずつが決めて、迎えた先攻G大阪4人目は「(長谷川健太)監督から『行けるか』と言われて、僕は自信を持っていたので、すぐに『行ける』と返事をした」という呉屋だった。

 5万人以上が詰め掛けたスタジアムで、タイトルが懸かった試合。対するは日本代表GKの西川周作だった。「多少、雰囲気にのまれていたと思う」と振り返った呉屋は右足からシュートを蹴り出すも、「もう少しキーパーが動くと思っていたら、それが目に入ってしまい、中途半端なキックになってしまった」。ボールは西川の右足に弾き出され、5人全員が決めた浦和に敗れることになった。

 ルーキーがPKを失敗。そしてタイトルを逃したとなれば、涙する場面も想像できたが、呉屋は目に涙を浮かべることはなかった。「泣きたくはなかった。僕よりもっと悔しい思いをしている人もいると思うし、泣くのではなく悔しさを噛み締めて次につなげたいと思った。まだ気持ちの整理もできていないけど、この経験を絶対に無駄にしてはいけない」と気丈に前を向いた。

(取材・文 折戸岳彦)
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