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[選手権予選]3年生は先発、ベンチ合わせて2人。同期、先輩の思い持って戦った西目が秋田決勝進出!

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後半23分、西目高はMF伊藤玲央主将が右足ループシュートを決めて3-1

[10.20 全国高校選手権秋田県予選準決勝 新屋高 1-3 西目高 八橋陸上競技場]

 第95回全国高校サッカー選手権秋田県予選準決勝が20日に行われ、第2試合では西目高がMF今野颯(2年)の2ゴールと10番MF伊藤玲央(3年)のゴールによって3-1で新屋高に勝利。西目は22日の決勝で4年ぶりとなる全国大会出場を懸けて秋田商高と戦う。

 この日、西目の登録メンバーリストに3年生は伊藤と守備の柱であるCB加川綜太郎の2人しかいなかった。元々この学年の3年生は10人しかいないことに加えて、29人いる2年生たちの台頭もあって3年生たちはポジションを確保することができず。だが、「3年生が2人しかいないので、チームに入っていない3年生の気持ちも考えて気を抜かず全力で戦っていきたい」と伊藤が語り、加川が「3年生が2人しかいないんですけど、全国大会に行って登録メンバーが30人になった時に競争して3年生がもっと入ってくれればいい」と口にしたように、3年生の代表は同級生たちの思いを背負って戦い、白星を勝ち取った。

 序盤からボールを握ったのは新屋だった。1年生MF松橋拓磨やMF大山悠斗(2年)が低い位置から攻撃を組み立て、スピードあるパスで西目DFを左右に揺さぶっていた。そして1年生MF田中智大が鋭い仕掛けからシュートへ持ち込み、17分にはキーマンのMF柳田凌吾(3年)の折り返しを左SB鈴木文也(3年)が右足で決定的なシュート。だが、先制点を奪うことができない。

 西目は9月のASリーグ(県1部)で新屋に0-5で敗れていた。春の対戦で1-3で敗れたのに続く黒星。だが、この日は畠山啓監督が「力関係はリーグ戦は2敗していますし、新屋の方が1枚、2枚上と認めた上での苦肉の策でした」という戦術、プランが見事に効果を発揮する。本来、ボールを握ってからのテクニカルな崩しと前からの勢いある守備も特長とする西目だが、プレスをかける位置を普段よりも10~15m下げて対応。指揮官も「思った以上にハマりましたね」と微笑んでいた新屋対策によって体力面も上手くコントロールできたことで運動量も余裕を持って維持することができた。

 そして前半18分に西目がスコアを動かす。左サイドの敵陣コーナー付近で一度失いかけたボールをMF齋藤颯太(2年)が奪い返すと、MF澤田歩(2年)がラストパス。これを今野が左足で撃ち抜くと、コースを突いた一撃がゴール右隅へ吸い込まれた。先制した西目はさらに22分、右サイドのDF背後のスペースへ出されたボールを追った今野が力強いチャージで奪取。そして前を向いた長身レフティーはGKの頭上を抜く鮮やかな左足ループシュートを決めた。

「3年生は今回入れなかった人がとても多かったので、その人たちのことも考えて、ベンチ外の人に認めてもらえるようなプレーを考えました」という今野の2発。その後、新屋の田中に決定的なラストパスを入れられるシーンもあったが、守った西目は「前半は予想以上。前半は0-0でベターかなと思っていたところ、1点じゃなくて、2点取れたのが大きかった」と畠山監督も頷く2点リードで前半を折り返した。

 だが、後半開始から柳田のドリブルシュートや松橋の右足ミドルなどで反撃する新屋が1点を返す。5分、大山のギャップを突いたパスをエンドライン際で受けたSB嵯峨滉也(3年)のクロスをFW門馬陸(2年)が頭でゴールヘ突き刺して1点差とした。この後ボールを握った新屋は柳田のスルーパスやCB滝澤莉希(3年)の左足シュートなどで同点を狙う。

 だが西目はボールがSHに入ってくるところから上手くプレスをかけ、要注意人物の柳田についてはCB加川やCB石川大晴(1年)とMF畠山秀(2年)が挟み込む形で対応。GK鈴木貴策(2年)の好守も光るチームは2点目を許さない。そして23分、西目は相手のバックパスを狙った伊藤がインターセプトから鮮やかな右足ループを決めて3-1。「(他の3年生から)自分たちが(メンバーに)入れない分、点を取ってきてと言われています」という主将のゴールで突き放した西目は最後まで集中を切らさずに守り、決勝への切符を掴んだ。決勝の対戦相手はライバル・秋田商。選手たちはピッチに立つことができない3年生や昨年、一昨年と決勝で敗れている先輩たちの思いも込めて戦い、全国切符を掴む。

(取材・文 吉田太郎)
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