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双子の兄に感謝「カズがいたから頑張ってこれた」…広島一筋MF森崎浩が引退会見

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ユース時代からサンフレッチェ広島一筋で過ごしてきたMF森崎浩司

 長年にわたってサンフレッチェ広島一筋でプレーし、10月20日に今季限りでの現役引退を発表したMF森崎浩司の引退会見が24日、広島市内のホテルで行われた。

 1981年5月9日生まれ、35歳の森崎浩は地元・広島県広島市出身。矢野中から97年に広島ユースに加入し、00年にトップチームに昇格。02年から出場機会を増やし、広島の中盤の主軸として活躍した。99年のU-18代表以降、年代別代表にも選出され、2001年ワールドユース(現U-20W杯)、2004年アテネ五輪に出場している。通算記録は、J1が257試合出場40得点。J2が77試合出場24得点。ルヴァン杯(ナビスコ杯)が46試合出場7得点。天皇杯が24試合出場9得点(10月24日現在)。

 2012年にはJ1で28試合出場7得点を記録し、リーグ初制覇に大きく貢献。オーバートレーニング症候群やケガに悩まされた時期もあったが、今季でユース時代から数えて20年間を広島一筋で過ごし、地元出身の生え抜き選手として双子の兄・和幸とともに、選手育成を大事にするサンフレッチェを象徴する存在だった。

 会見の冒頭で「寂しい気持ちもあるけど、少しホッとしている自分もいるな、という心境でいます」と現在の心境を語った森崎浩は、引退決断までの経緯について「1か月前くらい前にクラブの方とお話しをさせていただき、2週間くらい前に決めました。いろいろな方に相談させてもらい、最後は自分自身で決断しようと思っていたので、こういう形になりました」とコメント。会見の序盤で音響設備の不備があり、5分以上の中断となったときには「引退、撤回してもいいですか」と話して報道陣を笑わせるなど、和やかな雰囲気で進んだ。

 引退の理由については「現役選手として続けたい気持ちもあったが、どちらかというと引退の方に気持ちが傾いていった。来年1年間、現役を続けようと思える自分が、なかなか想像できなかった。広島で長くお世話になったので、広島で現役を終えることを決断した」と明かした。最も思い出に残っている試合には、2012年にJ1初優勝を決めたホームでのC大阪戦を挙げ、「鮮明に覚えています。今までの苦しさや、それまでJ2に二度、降格した経験もあったので、感無量だった」と語っている。

 双子の兄・和幸については「なくてはならない存在。カズがいてくれたからこそ、ここまで頑張ってくることができた」と感謝の思いを述べた。“森崎浩選手にとってサンフレッチェ広島とは、どんなものか?”との質問には「ありきたりな言葉ですが、広島で生まれ育った僕としては、人生そのもの」と語り、ファン・サポーターに向けては「今この場で伝えたいことも、いろいろあるけれど、引退セレモニーもあるので、そこでしっかり伝えることができれば」と語るにとどめた。

 今後については「選手ではなく、違った形で広島に貢献できることがあれば、貢献していきたいと思っている」と語り、「実現してほしいと思うのは、広島にサッカー専用スタジアムができること。そこに貢献できるように、何とか僕も力になれたら」と語った。

 最後のホームゲームは10月29日の福岡戦(14時、Eスタ)。クラブの功労者の晴れ舞台には、引退セレモニーのほか、さまざまなイベントが準備されている。

(取材・文 石倉利英)

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