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[MOM1925]専大北上MF小野寺拓海(3年)_「次、勝つよ」。魂の同点FK決めた主将は旧友のためにも全国へ

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試合後、専大北上高のMF小野寺拓海主将が盛岡商高のDF谷地朝日主将に声を掛ける。「次、勝つよ」

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.26 全国高校選手権岩手県予選準決勝 盛岡商高 2-3(延長)専大北上高 いわぎんスタジアムA]

 後半17分、専大北上高はセットプレーから盛岡商高に勝ち越しゴールを許した。名門相手に2度目のビハインド。この1点はチームに重くのしかかるように思われたが、専大北上は主将が魂の一撃でチームを救った。

 後半27分、専大北上はFW蟻田幸希(3年)がゴール正面左寄りの位置でFKを獲得。このキッカーを務めたMF小野寺拓海主将(3年)が右足を振り抜くと、クロスバーの下側を叩いた一撃はそのままゴールネットへ吸い込まれた。小野寺はわずか数分前に得ていた直接FKで力みすぎてミス。それでも「決めるイメージあった。1本目は決めよう、決めようと思いすぎて力んでしまったので、少しそこを修正しようと思ってインパクトだけきっちりやろうと自分の中で冷静に考えながら蹴れたので良かった」という一撃で歓喜をもたらした。

 小野寺の決めたゴールについて、小原昭弘監督は「一番練習してきた子なんでその成果が出た」と頷いた。大舞台で見事に表現された努力の成果。小野寺は「練習してきたからこそだと思うんですけど、次勝って全国行くために練習してきたんでまだまだです」。心の底から喜ぶのは優勝してから。この日、小野寺は盛岡商に対して高さで大きく下回っていた専大北上の中で空中戦で奮闘し、中盤で良くボールを奪って攻撃に繋げていた。そして魂の同点FK。2年前に0-6、昨春にも0-4で敗れている盛岡商へのリベンジを誓い、「この大会にかける気持ちは誰にも負けないと思っています」という主将の気迫が白星を引き寄せた。

 決勝は旧友の思いも背負って戦う舞台となる。専大北上イレブンは盛岡商からの勝利を決めると、喜びを大爆発させていたが、小野寺はほぼ表情を変えずに歓喜の輪を離れると、膝をついて悔しがる盛岡商DF谷地朝日主将(3年)の下へ歩み寄った。谷地は小学生時代に花巻SS、中学時代もヴェルディ岩手花巻でともに努力してきたプレーヤー。「個人的に小学校、中学校と一緒にやってきて、高校で1回も勝っていない。素晴らしい選手なので尊敬していますけれども、勝てて嬉しいと同時に、アイツもここに勝つためにやってきたので。『次、勝つよ』と伝えました」。涙を流し続ける谷地。それほどこの舞台に懸けていた旧友のためにも優勝しなければならない。

 遠野高と対戦する決勝は自分の力を出し切ること。「まだ自分のやりたいプレーが全然やれていない。球際でファイトして、声出して、そういう部分で自分は戦わないといけないので、運動量や球際や切り替えの部分で特長を出せればいいと思っています。(対戦する遠野は強いが)自分たちも次勝つためにやってきた。自信があるので、絶対に勝ちたいです」。決勝で勝つために取り組んできた日々。優勝を決めて、最高の笑顔で大会を終える。

(取材・文 吉田太郎)
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