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涙の引退セレモニー…森崎浩司「僕にとって昔も今も最高の選手は森崎和幸」

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昨季のチャンピオンシップを制し、FW浅野拓磨を挟んで肩を組むMF森崎浩司(左)とMF森崎和幸(右)

[10.29 J1第2ステージ第16節 広島4-1福岡 Eスタ]

 今季限りでの現役引退を表明したサンフレッチェ広島のMF森崎浩司(35)がホーム最終戦で有終の美となる今季初ゴールを決め、2万2963人の観衆から万雷の拍手を浴びた。

 1-0で迎えた前半33分、DF塩谷司の縦パスをPA内で受けると、DF田村友、DFキム・ヒョヌンのプレッシャーを受けながらもボールをキープし、左足でシュート。これがGKの脇を抜けてゴールネットを揺らし、追加点となった。

 今季ホームラストゲームで今季初先発。「コンディションもベストではない状況で試合に出させてもらって、みんなの後押しが力になった」。森保一監督、チームメイトに感謝した森崎浩は試合後のヒーローインタビューで「今日、ゴールを決められたので引退撤回してもいいですか」とジョークを飛ばし、場内の笑いを誘った。

 後半8分に交代する際も笑顔でチームメイトと抱き合い、ハイタッチをかわしてピッチをあとにした。ただ、試合後に行われた引退セレモニーでは、こみ上げる感情を抑えることができなかった。

 地元・広島市出身で、97年に広島ユースに加入。双子の兄・森崎和幸とともに00年にトップチーム昇格を果たした。広島一筋だった17年間のプロ生活で3度のリーグ制覇に貢献。J1通算258試合41得点、J2通算77試合24得点を記録したが、2度のJ2降格を経験し、オーバートレーニング症候群やケガに悩まされた時期もあった。

「2度のJ2降格、3度のJ1優勝と、うれしいことも苦しいこともたくさんあった。自分自身は幾度も体調不良やケガに悩まされ、もうピッチに戻ることはできないのではないかと思ったことは1度や2度ではなかった」

 用意してきたメモを読み上げる形で自分の思いを伝えた引退セレモニー。「そのたびにこのピッチに戻らせてくれたのは育ててくれた両親、いつもそばにいてくれた妻と子供たちでした。辛いときも苦しいときも支えてくれてありがとう」。家族に感謝し、監督やスタッフ、チームメイト、サポーターを含めたすべての関係者への感謝を述べた森崎浩。その中でも森崎和の存在は特別だった。

「普段は照れくさくて、なかなか直接は言いづらいので、この場を借りて言わせてください」と口を開くと、35年間の人生で苦楽をともにしてきた双子の兄への思いを語った。

「僕はカズがいたから、今日までプロサッカー選手としてプレーできたと思っています。体調不良で苦しいとき、自分自身のプレーに納得がいかないとき、いつも相談に乗ってくれたのは他でもないカズでした。時には厳しく、時には力強く、僕のことを励ましてくれて、いつも僕の背中を押してくれました。追いつき、追い越そうと競い合ってきたからこそ、ここまで続けることができたと思っています。

 でも、振り返ってみても、正直、お前には全然追いつけなかったと思っているよ。俺にとって昔も今も最高の選手は変わらず森崎和幸だと思っているよ。J1で初優勝したとき、そのカズと2人でサポーターのみんなが待っているスタンドに上がらせてもらい、一緒に喜ばせてもらえたのは最高の思い出です」

 セレモニーではその森崎和や元チームメイトの福岡DF駒野友一、そして家族からも花束贈呈を受けた森崎浩。時に言葉に詰まり、鼻をすすりながらも感謝の言葉を続け、「正直、これだけ手のかかる選手はいなかったと思っています。そんな僕に17年間もプレーさせてくれる機会をくれて、ありがとうございました。これからもずっと僕の心はサンフレッチェ広島とともにあります」と、プロ17年間、ユース時代を含めて20年間を過ごしたサンフレッチェ広島に対する不変の愛を誓った。

●[J1]第2ステージ第16節 スコア速報

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