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[選手権予選]登録158cmのMF小野ら小兵が踊って3発快勝、佐賀東が夏冬全国出場へ前進:佐賀

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佐賀東高は2年生MF小野真稔の2得点の活躍などによって決勝へ

[10.29 全国高校選手権佐賀県予選準決勝 佐賀東高 3-0 佐賀学園高 佐賀県総合運動場]

 明らかに小さい。しかし、巧い。身長170cmオーバーが先発に3人しかいない佐賀東高が、徹底したつなぎで全国大会出場に王手をかけた。第95回全国高校サッカー選手権の佐賀県大会は29日に準決勝を行い、佐賀東は3-0で佐賀学園高を下して決勝に進出した。夏の全国高校総体に出場した同校は、決勝を勝てば夏冬連続の全国大会出場となる。

 身長180cm以上の選手を先発に4人擁した佐賀学園に対し、ほとんどが160cm台の佐賀東は見るからに小柄な集団だったが、中でも大きな活躍を見せたのは、前半32分に投入された身長158cmの2年生MF小野真稔だった。試合は前半から佐賀東が主導権を握った。12分にセットプレーのこぼれ球を主将の川内陽一が押し込んで先制した後は、FW吉川極心や2年生アタッカーを中心にスピーディーな攻撃を仕掛ける佐賀学園に攻め込まれる場面もあったが、後半13分に縦パスを入れた後のこぼれ球を小野が蹴り込んで追加点を奪うと、24分に左からのクロスをまたも小野が押し込んでリードを広げ、勝利を決定付けた。途中出場で2得点を挙げた小野は「シュートは、ふかさないことだけを考えていた。クロスに対しては人数をかければフリーになれるので、頑張って入って行った」と手ごたえを話したが、満足はしていない様子だった。

 佐賀東は今季、先発メンバーを頻繁に入れ替えており、小野も定位置の確保ができていないからだ。総体予選の頃は先発出場していたが、夏の全国大会では登録メンバーから漏れたほどだ。「夏はボールを受けられなくなってしまっていたので、受け方を工夫した」という小野は、タイミングの良い動き出しでパスを引き出し、細かに体の向きを変えることでプレッシャーをいなすボールキープを披露した。蒲原晶昭監督が「ボランチが守備重視でプレーしなければいけないような状況ではなかったので、それならボールを動かせる小野が得策かなと思った」と投入の意図を明かしたように、この試合ではしっかりと特徴を発揮することで小野は勝利に貢献することができた。しかし、アピールを続けなければ先発ポジションは獲得できない。

 幼い頃からずっと小柄だという小野は、以前は低身長にコンプレックスを抱えた部分もあったが、今では「小さいから懐に入れるというところもある」と逆手に取ることも覚えて前向きに捉えている。ただ、もっと体を大きくしたいという思いもある。「まだ伸びています。(資料が)158cmになっていましたか? 今は、160cmちょうどあります。大島僚太選手(川崎F)が168cmで日本代表に入っているので、同じくらいの身長が欲しい」と本音を明かした。チームは夏以降、足下を確実に経由していく保有率の高いポゼッションを磨いており、小野には適したスタイルになって来ている。佐賀東は11月6日に行われる決勝戦で連覇を狙う佐賀北高と対戦する。小野は「自分は出られるかどうか分からないけど、出られたら力を尽くして全国大会に行きたい」と抱負を語った。前線の個の能力が高い佐賀北を、小兵軍団の佐賀東はいなすことができるのか。面白味のある一戦となりそうだ。

(取材・文 平野貴也)
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