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[MOM1930]前橋商MF金枝晃平(3年)_心身ともに成長したエース、後半終了1分前に劇的V弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.30 全国高校選手権群馬県予選準決勝 前橋商高 1-0 新島学園高 敷島公園サッカー・ラグビー場]

「試合前からイメージしていたので。自分が決めて勝ってやろうという気持ちでいました」。その言葉通り、前橋商高は10番MF金枝晃平(3年)が劇的な決勝点を決めた。

 前橋商はこの日、新島学園高に主導権を握られる時間が増えてしまい、金枝もなかなかボールに絡むことができていなかった。そして新島学園は後半半ば以降もポスト直撃のミドルシュートやサイドから崩して決定的なシュート。前橋商ゴールを脅かしていたが、「ベンチの方から残り10分くらいは笑ってやれ、と聞こえていたので気が楽に。延長になっても自分たちは走りきれると思ってやっていました」という金枝は、焦ることなくチャンスを狙い続ける。そして訪れた1チャンスをゴールに結びつけ、大歓声を独り占めした。

 後半終了1分前の39分、前橋商は右SB木村海斗主将(3年)がグラウンダーのクロスを入れる。ゴールを背にする形でボールをコントロールした金枝が振り向きざまに右足を振り抜くと、ボールはゴール左隅へ突き刺さった。今大会はここまで1得点。「今までは足が止まっちゃったりしていた。(クロスを)ファーで呼んだりしていたので、ニアに行けていなかった」というが、このシーンで左MFはクロスをファーサイドで待つのではなく、ニアまで走って受けて右足一閃。課題となっていた部分を修正して見事結果に結びつけた。

 “熱い”試合では良くある光景かもしれないが、10番は対戦校スタンドから「10番削れ~」など野次のターゲットになることがあるという。だが、「逆にやってやろうと。吹っ切れてやってやろうと」なるというエースはこの日も「絶対に決める」と闘志を燃やしていた。そして「どうだ」、と言わんばかりに声を鎮める決勝点。自身が決めきれずに敗れた新人戦はまだ10番のプレッシャーを吹き飛ばすようなメンタルを持ち合わせていなかったというが、今は練習を重ね、どの試合でも自分のプレーを表現できるようになった。心身ともに成長したエース。特にキック精度に自信を持つ金枝が自らのゴールで目標とする選手権全国出場まであと1勝とした。

(取材・文 吉田太郎)
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