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[MOM1931]前橋育英MF長澤昂輝(3年)_広島から挑戦の「もう一人のリーダー」、決勝導く延長V弾

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延長前半6分、前橋育英高はMF長澤昂輝(3年)がミドルシュートで決勝点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.30 全国高校選手権群馬県予選準決勝 前橋育英高 2-1(延長)高崎経済大附高 敷島公園サッカー・ラグビー場]

 決意を持って広島から上州・群馬の名門の門を叩いてきたMFが決勝への道を切り開いた。1-1で突入した延長戦の前半6分、前橋育英高は中盤でボールを持ったMF長澤昂輝(3年)が右前方へボールを運んでから「シュートも少なかったし、打てばなんか起こるかなと思って打ちました」と右足一閃。シュートの瞬間、山田耕介監督は「一瞬ボクも打つな、というシュート」だったと振り返るが、ボールは本人が蹴った瞬間に「あ、入った」と確信させる弾道を描いてゴール左隅に突き刺さった。

 1,100人の観衆がどよめいたファインショット。指揮官も「思い切ったいいシュートですね」と認めるしかなかったミドル弾で白星を手繰り寄せた。後半途中からは負傷退場した大黒柱・MF大塚諒主将(3年)に代わってキャプテンマークを巻いた「もう一人のリーダー」は期待されているリーダーシップを発揮。延長戦に持ち込まれる苦しい試合の中で下級生が半数以上のチームを引っ張り、自らの一撃で試合を決めた。

 サンフレッチェ広島ジュニアユース出身の長澤はユースチームに昇格することができず。地元・広島の強豪校へ進学することも考えたというが、進路として選んだのは群馬の名門だった。「高校サッカー選手権に出たいなと言う気持ちで来たのがあります。おばあちゃんちがこっちにあって、通えるところで強いところと言ったら育英かなと思って来ました。県外へ出て、関東の高いレベルの中で競争したいと思ってこっちに来ました」。

 群馬の名門で中学時代のチームメートたち以上の成長を遂げることを目指してきた。今夏の全国高校総体は広島開催だっただけに、凱旋することも目標のひとつだったが、チームはまさかの県予選初戦敗退。自身も先発を外れている時期で悔しい思いを募らせていたが、その後、「サッカー部長」でもある長澤はチームのリーダーとしてピッチ内外におけるまとめ役として欠かせない存在となった。

「監督にサッカーノート通じてだったり、2者面談で『リーダーシップ取るのはオマエと大塚でやっていけ。ピッチの中でも、ピッチの外でもやっていけ』と言われたので。信頼してもらっているのでしっかりやっていかないといけないなと思ってやってきました。個人としてもチームを引っ張ることで自分のプレーも上がっていくというか、プレースタイル的にも自分が声出すことで自分も、チームも上がるということを見つけられたんで、それは欠かさずにやろうと思っています」。この日はもう一人のリーダーである大塚が負傷交代するアクシデントがあったが、そこで揺るがずにチームを引っ張った「サッカー部長」が自らのゴールでチームを決勝へ導いた。

 悲願の選手権出場へ王手。決勝では広島から挑戦してきた3年間の全てをぶつけるつもりだ。「この一週間、全力でやりたいと思います」と語る「もう一人のチームリーダー」が声を出して、身体を張ってあと1勝を掴み取る。
 
(取材・文 吉田太郎)
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