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[MOM1932]藤枝明誠FW藤本一輝(3年)_今冬ブレイクも、突破型ストライカーが圧巻の一撃含む2発

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前半20分、藤枝明誠高FW藤本一輝が左足で先制点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 全国高校選手権静岡県予選決勝T1回戦 浜名高 0-4 藤枝明誠高 藤枝市民G]

 全国高校総体優勝の歴史を持つ伝統校・浜名高相手に公式記録上ではシュート数19-0の完勝。藤枝明誠高は完勝でベスト8進出を決めたが、特にエースストライカーが別格の動きで2得点を奪った。

 176cmのFW藤本一輝(3年)は圧巻の先制ゴールで試合の軸を傾け、2得点の活躍。だが、元浦和FWの松本安司監督はそのパフォーマンスについて全く満足していなかった。「3点目が取れなかった」。固め取りするだけの力があるのに、それができなかったことに指揮官は不満げ。「今までの明誠にいないCF。(上のステージへ)この子、行けますよ」と確信している素材だけに、より自分自身に厳しく、向上心を持って取り組むことを求めていた。

 とは言え、先制点については松本監督も「インパクト十分」と認める一撃。左中間でボールを受けると、縦へのドリブルでDF2人を振り切ってPAへ潜り込み、左足シュートをゴールネットへ突き刺した。「ドリブルも良かったし、シュートも良いところに飛んだのでいい点数つけられると思います」と本人も高評価の先制点。それまでもスピード感十分のドリブルでDFを外していたFWは、粘り強く守っていた浜名DF陣をねじ伏せるような一撃で待望の1点をもたらすと、後半7分にも得意のドリブルから右足シュートをゴール左隅に決めた。

 この後はチャンスがありながら、シュートをミスするなど3点目を奪えず。「自分の中では全然緩んでないんですけど……」。指揮官から緩みを指摘されたFWはそれを否定しながらも、3点目を取れなかったことを悔しがっていた。それでも、「今までにないような、ドリブルから点取るストライカー。宇佐美選手みたいになっていきたいです」というサガン鳥栖U-15出身のCFは、全国で名を上げることも十分に可能なタレントだ。チームからの期待値高く、昨冬の新人戦ではあえてベンチ外に。その悔しさを糧にフェスティバルで爆発して信頼を勝ち取り、4月のプリンスリーグ東海開幕戦(対静岡学園高)では衝撃の4人抜きゴールを決めてSNSなどで話題となった。現在はプリンスリーグ東海で得点ランキング2位タイの15得点。嫌だなと思ったDFが「いないですね」と微笑むほど、個で抑えられた印象はないという。ポジショニングなどに課題を残し、まだまだ試合の中で消えてしまう時間帯があるが、改善されれば、より試合の中でインパクトを残せるだけの実力がある。

 九州から静岡で成長することを選んだ。小学生時代の恩師が静岡学園高出身で「静岡でやってみろと言われた」ことで決意。試合に出られずに悩んだ時期もあったが、現在はチームメートの静岡県選抜MF遠野大弥も「素晴らしいです。ストライカーとして点取ってくれます」と語るように、チームのエースストライカーになっている。鳥栖U-15時代のチームメートであるMF石川啓人(鳥栖U-18)が鳥栖トップチームの一員としてJ1デビューし、MF藤川虎太朗(東福岡高、昨年度全国2冠)もジュビロ磐田入りしているだけに「負けたくない」とエネルギーに。全国大会で藤川ら当時のチームメートと対戦することは目標のひとつだ。そのためには激戦区・静岡でまずは7年ぶりとなる優勝を果たさなければならない。「自分が点取ったら守ってくれて勝てると思うんで、自分次第かなと思います」と言い切る突破型ストライカーがそのゴールでチームに全国切符をもたらす。 

(取材・文 吉田太郎)
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