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[MOM403]桐蔭横浜大MF鈴木国友(3年)_「次は俺、決めたらヒーロー」予感があった決勝点

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決勝点を挙げたFW鈴木国友

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.5 関東大学サッカーリーグ第21節 桐蔭横浜大3-2早稲田大 BMWス]

 自分の番はやってくる。そんな予感は的中した。残留争いの大一番。前半で2点のビハインドを負った桐蔭横浜大だったが、後半に早稲田大から3点を奪っての逆転勝利。1部残留を大きく近づけた。決勝点を挙げたのはMF鈴木国友(3年=相洋高)だ。

 直近2試合連続でスコアレスドロー。守備陣が結果を残すなか、攻撃陣は2戦連続不発だった。鈴木は「後ろが失点セロで来てくれていたので、前の選手として、点を取らないといけない責任は常々感じていました」と言う。

 そしてこの日迎えた大一番の早稲田大戦。ぎりぎり残留圏に留まる桐蔭横浜大は、勝ち点2差の降格圏・早稲田大と激突した。1部残留を目指す中で落とせない一戦。しかし鈴木が緊張することはなかった。「あまり気負うといいことがないので、いつも通りに自分のプレーを出そう」と冷静にゲームへ入った。

 しかし試合は思わぬ展開を迎える。前半31分に先制され、同40分には2失点目。前半だけで2点のビハインドを負った。SHの位置に入った鈴木はボールを引き出そうとするが、なかなかいい形で受けることはできず。シュートで終われない。桐蔭横浜大は前半をシュート1本で終えた。

 ハーフタイムには八城修監督から「いつもやっているプレーをやろう」、「まだ0-2なんだから、自信を持って。相手に呑まれないようにやろう」と言葉があった。自信を失いかけ、バラバラになりかけていた選手たちだが「まずは1点を取ろう」とまとまった。

 すると後半2分、シュートのこぼれをMF杉山雄太(1年=札幌U-18)が決め、まず1点を返す。同13分には、鈴木のクロスに飛び込んだMF今関耕平(4年=千葉U-18)がヘディングシュート。一気に2-2に追いついた。

 アシストした鈴木は「カットインして、DFが外れたので。まずはニアを越そうと思いました。誰かを狙ったというよりも、あの辺りを狙ってボールを入れました。耕平が決めてくれたので良かったです」と振り返る。

 0-2から2点を返し、チームは勢いづいた。このとき、鈴木の胸には「次は自分が取れるなと。アシストもしたし、次は俺。決めたらヒーローだな」という“予感”があった。それは的中する。

 後半23分、途中出場のDF池田壮磨(3年=前橋育英高)から受けたMF浅沼大和(3年=清水ユース)が右クロス。ニアサイドでFW浅川隼人(3年=八千代高)がつぶれると、後方で待ち構えていた鈴木が右足で押し込んだ。

「隼人がニアでつぶれてくれたので。ごっつぁんゴールでした。来るかなと思ったら、本当にいいところに転がってきたので。ボールを見て、足に当てるだけでした」

 ゴールネットを揺らした瞬間は「無心でした」というが、じわじわと喜びは湧き上がってきた。残り時間は無我夢中で戦った。そして、鈴木の得点が決勝点となり、桐蔭横浜大は1部残留を大きく近づける3-2の勝利を飾った。あすの試合で国士舘大が引き分け以下だった場合には、残留は決まる。

 仕事を果たした鈴木だが、まだまだ満足はしていない。今季7点目を挙げたものの、「自分が出ている試合数で比べたら全然物足りない。監督にも『もっと取れる、もっと取れる』と言われているので」と表情を引き締める。

「やっぱり上位にいるチーム、明治大などは得点ランキングの上位に1人や2人いるじゃないですか。うちだったら、自分や大地(石川)とか、碧(佐藤)も結構点を取っているんですけど、前線の選手がもっと点を取らないと上にはいけないと感じているので」

 今節の勝利によって、桐蔭横浜大は勝ち点25に伸ばした。全日本大学選手権(インカレ)圏内の6位とは勝ち点3差。インカレプレーオフ権がある7位・慶應義塾大とは勝ち点2差となっている。最終節では慶大と直接対決。勝ち点27の8位・専修大、9位・駒澤大などの結果にもよるが、最終節の結果次第では残留争いから一転、冬の全国切符を勝ち取れる可能性も出てきた。

 自らがゴールを奪うという予感を的中させ、チームを勝利に導いた鈴木。今季最終節へ向けては、「他力になりますが、インカレに出場できる可能性もゼロではないので。今日の結果に満足せず、最終節の慶應義塾大戦へ向けて、準備をしていきたい」と強く誓っていた。

(取材・文 片岡涼)
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