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[MOM1941]京都U-18GK遠近眞明(3年)_チャンス得た3年生GKが主役に!示してきた「GKとしての安定感や責任感」

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京都サンガF.C.U-18はGK遠近眞明がPK戦勝利の立て役者に

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.5 Jユースカップ準々決勝 京都U-18 2-2(PK6-5)京都U-18 南長野]

 2試合連続となるPK戦を制した京都サンガF.C.U-18。その立役者となったのはGK遠近眞明だ。互いに5人全員が成功して向かえた6人目、相手のキックを見事に止めてチームを勝利に導いた。

 1年生の頃から、正GKの不在時などにゴールマウスを任されることがあった遠近だが、最終学年となった今季は一年後輩のGK若原智哉と激しいポジション争いを繰り広げている。2人の実力が拮抗しているため、チームはGKを固定させずに戦ってきた。だが、夏のクラブユース選手権で敗退した1回戦の横浜FCユース戦を最後に、遠近は公式戦から遠ざかる。プレミアリーグでは8月末の再開後から10月初旬の中断まで、すべての試合で成長著しい若原が先発に名を連ねたのだ。

 悔しさはあったが、腐ることはなかった。「(若原)智哉が出るときは僕がサポートする」(遠近)と同時に、日々の鍛錬にも励み続けた。今大会前に若原がAFC U-19選手権に挑むU-19日本代表に招集されてチームを離脱。遠近がゴールを守ることになったが、森岡隆三監督は「GKに関しては何の不安もない。遠近がここ(練習場)で見せているプレーや姿勢を見ていればね」と信頼を口にしている。そして、その期待に応えてみせた。初戦となった2回戦・千葉U-18戦を無失点で勝利すると、3回戦・大分U-18戦ではスコアレスで突入したPK戦で2人を止める活躍。準決勝でもプレッシャーの掛かる状況でセーブして、チームメイトと共に歓喜の瞬間を迎えている。

 森本悠馬GKコーチは「ポテンシャルなら若原が上。でも遠近はGKとしての安定感や責任感といったものが高い。試合に出るGKには才能以外のものも求められるし、『こいつなら任せられる』というというものが遠近にはあるんです」と話している。2年生ながらトップチームに2種登録されている事実が示すように、若原には恵まれた才能がある。では、そこで適わなければピッチに立つことはできないのか?「僕自身、GKとして才能がある方ではなかった。そういった選手にも『勝負できるところがあるんだよ』というのを伝えたい」と話す森本GKコーチの指導の下で安定感を増し、コーチングも上達した。さらにサッカーに取り組む姿勢も向上するなど、遠近は様々な面で成長を見せている。

 そうした先輩の姿を間近で見てきた若原もU-18チームでの活動、さらに年代別日本代表やトップチームへの練習参加といった経験を重ねながら自分に足りないものを学んでいった。U-19代表では第3GKとして唯一ピッチに立つことができなかったが、その悔しさも更なる飛躍の糧とする心構えだ。「1年間、遠近君と切磋琢磨してきて、刺激になってます。ここからポジションを奪い返すために取り組むことで僕も伸びるし、遠近君も伸びると思う」(若原)と言葉に決意をにじませている。

 遠近にとって、日々の取り組みの継続に若原の代表選出という巡り会わせによって訪れた今大会での出場機会。「久しぶりに連戦を経験できています」と言葉は控えめだが、今大会に賭ける思いの強さは人一倍だ。「次はFC東京。厳しい試合になるだろうけれど、自分が止めてチームを盛り上げていきたい」(遠近)。高めあえるライバルと信頼できるコーチ、そしてチームメイトたちと共に夏の王者へ挑む。

(取材・文 雨堤俊祐)
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