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[選手権予選]夏の悔しすぎる敗戦が糧に、全国連覇目指す東福岡が圧巻の6-0V!:福岡

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6-0と強さを示すスコアで全国出場を決めた東福岡高イレブン

[11.13 全国高校選手権福岡県予選 東福岡高 6-0 九州国際大付高 博多の森陸上競技場]

 第95回全国高校サッカー選手権福岡県予選決勝が13日、福岡市の博多の森陸上競技場で行われ、昨年度日本一の東福岡高九州国際大付高が対戦。東福岡がFW藤井一輝(3年)の先制ゴールなどによって6-0で勝ち、4年連続18回目となる全国大会出場を決めた。
 
 夏の苦杯から選手権でのリベンジ、全国連覇を目指す東福岡が難敵・九国大付を圧倒した。失点の危機は幾度かあったものの、新人戦決勝、総体予選決勝でいずれも1点差勝利だった相手を6-0でねじ伏せてのインパクトある勝利。森重潤也監督も「結果も素晴らしいと思いますし、相手のリスタートで1点はやられるかなという覚悟の上で、2点取れればいいかなと思っていましたので、そういう中で選手たちがよく頑張ってくれたと思います」と語る勝利で福岡予選を突破した。

 磐田内定の10番MF藤川虎太朗(3年、日本高校選抜)がベンチスタートだったものの、G大阪内定MF高江麗央(3年)や鹿島内定SB小田逸稀(3年)、日本高校選抜MF鍬先祐弥(3年)といった実力者や、「ポジション争いが2人(藤川、高江)ともプロなんでキツイですね。(アピールするために)目に見える得点とか、運動量が持ち味なんで頑張る所を意識しています」という成長株のMF田尻京太郎(3年)らが先発した東福岡は試合の経過とともに徐々にセカンドボールを拾う回数を増やし、左サイド中心の攻撃から相手を攻め立てていく。

 九国大付は185cmMF川口祐輝(2年)を最終ライン中央に近い位置に配置し、5バックのような形でまずは守りを固めて東福岡を迎え撃ったが、東福岡は森重監督が「落ち着いてやっていた」と頷いていたように、攻め急ぐことなく、高江や鍬先が大きな展開を交えてボールをワイドへ運び、そこからの崩しで相手にプレッシャーをかけていった。ワンツーや3人の連係で局面を破り、PA付近では高江やMF福田湧矢(2年)、小田の仕掛けなどで九国大付の堅守をこじ開けようとする。一方、九国大付も1トップの強力FW今田源紀(3年)へボールを集め、そのこぼれ球を拾った際はクロスやシュートで終えていた。13分にはMF新竹皓太(3年)のインターセプトから今田が縦へ持ち込み、最後はFW手島貫太(3年)が左足で狙うが、これは東福岡のCB児玉慎太郎主将(3年)がブロック。「やれる」手応えを掴んで戦っていた九国大付だが、先にリードを許してしまう。15分、東福岡は敵陣で失ったボールを奪い返した鍬先が縦へ運んでからスルーパス。上手くランニングコースを確保した藤井が抜け出して右足で先制ゴールをねじ込んだ。

 1チャンスをゴールへ結びつける力のある九国大付だったが、東福岡は圧倒的にボールを保持してその回数を増やさせなかった。そして29分、左サイドを福田、高江、小田のトリオで崩すと、抜け出した小田が左足シュート。九国大付GK豊島大地(3年)がよく止めたが、こぼれ球を田尻が競り勝つと、最後は藤井がジャンプしながらの右足シュートでゴールを破った。両チームにとって大きな1点が決まって2-0。東福岡の小田はまさかの初戦敗退(対昌平高、2-3)を喫した全国高校総体の反省が活きたことを口にする。「インターハイでは1点取ってスピードダウンして負けてしまったので。きょうは1点取った後に『次の1点取って』という気持ちを持っていた。それが6点に繋がった」。悪くても1点差で前半を折り返したかった九国大付はMF亀安晃太主将(3年)のセットプレーからゴール前でストロングポイントである高さを発揮。相手ゴールを脅かすシーンもつくったが、東福岡は児玉、CB阿部海大(2年)が空中戦でよく競り合い、GK前島正弥(3年)の反応良い守りもあって得点を許さない。

 九国大付は後半開始から4-5-1システムへ変えて1点を取り返しに行く。だが、チャンスをつくりながらも決めきることができず。逆に東福岡は17分、「前半で(藤井)一輝が2点取ってくれていたので、ハーフタイムに(総監督の)志波先生が『3点目が大事になる』と話していたので自分がその3点目を取るという気持ちで準備していた」という交代出場FW佐藤凌我(3年)が貴重な3点目を奪う。田尻が右サイドを突破。中央の福田からのパスで左中間を抜け出した佐藤が左足でゴールを破って3-0とした。この後、藤川をピッチに送り出した東福岡は27分、佐藤が獲得したFKを高江が狙いすました右足シュートで決めて4-0。37分には藤川のボールキープから左サイドの福田が鮮やかな右足シュートを逆サイドのゴールネットへ突き刺す。このゴールに対してベンチの志波芳則総監督も立ち上がって拍手を送っていたが、東福岡はさらに39分にも佐藤がスピードを活かして右サイドを破る。そして、中央のFW大森真吾(1年)が絡み、最後はファーサイドの福田が左足で決めてゴールラッシュを締めくくった。

 夏の全国初戦で初出場の昌平に敗れた結果は大きなニュースとして全国に流れた。昨年の先輩たちの謙虚に取り組む姿を見てきた東福岡の選手たちは同様にチームを高めて来たが、どこかにあった「自分たちも勝てる」という油断。昨年の優勝メンバーで、勝ち抜くことの厳しさを知っていた藤川は「全国大会ではどの相手でも油断できないということが共通理解できていなかったので。そういうところで敗因ができたと思います」と指摘する。史上初となる全国総体3連覇、全国3冠という目標を口に出して目指してきただけに、選手たちのショックも大きかったという。だが、チームは屈辱的な敗戦を受け入れ、そこから「打倒東福岡」への意欲を燃やしてくる相手を打ち破るチームになること、日本一を勝ち取るチームになることを目指してきた。夏以降は怪我人も多かったがその中で下級生たちも台頭。児玉は「謙虚さだったり、日頃の練習の妥協だったりがインターハイで出てしまった。去年、夏と選手権を取っている分、相手の選手の目も変わって、段以上の力を出してくるので、そこに打ち勝てる力をつけていっているところです。(夏は)連覇も3冠も叶わなくなって心が折れそうになったんですけど、そこからしっかりチームを立て直して、選手権で絶対リベンジしてやろうという気持ちで今、頑張っています」

 選手同士でのミーティングが増え、練習での姿勢も厳しさを増した。高江が「ヒガシはサイドなので、インハイ終わって徹底的に。個も強いのでそこをしっかり連係とって崩せたらあとは個でいける」と特長を磨き、攻守に置いてレベルアップを遂げてきた。それでも「まだまだ」と声を揃える選手たち。もっと貪欲に、もっと突き詰めて、「絶対に日本一取りたい」(小田)という目標を達成すること。悔しすぎる敗戦をきっかけに力を高めている“赤い彗星”東福岡が今冬、雪辱という強い思いも持って全国連覇に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
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