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[MOM1950]広島ユースMF川井歩(2年)_魔法の右足で決勝点。クレバーな右翼がチームを決勝へ導く

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 Jユースカップ準決勝 広島ユース 7-0 松本U-18 ベアスタ]

 Jユースカップ準決勝第2試合。立ち上がりから攻め込んだサンフレッチェ広島ユースだが、「ここ数試合、相当点が入らなかった」チームにとって、得点を奪えないままズルズルいくことは厳に避けたい展開だった。それだけに、開始8分にしてFKのチャンスから生まれたゴールの意味は大きかった。FW満田誠が「あれでラクになった」と振り返るとおりである。

 ゴール正面からかなり右に寄った位置で得たFK。通常、右足のキッカーが直接狙うのは難しいポジションだが、キッカーのMF川井歩は「ファウルを取った瞬間に狙おうと決めていた」と振り返る。ただ、そんな心中は見せないように努めて、むしろ上がってくる味方のほうを向く視線のフェイクも使って松本山雅U-18のGK古瀬圭祐にクロスを送ると思い込ませるように蹴る直前まで「駆け引きを続けた」(川井)。

 蹴ったシュートは低弾道で壁の外をカーブさせて回り込ませるボール。「練習どおりに巻いた」という弾道はゴール隅ギリギリを突き、今大会大活躍を見せてきたGK古瀬の牙城を破ってゴールネットを揺らす。「そこは自分の武器だから」と胸を張った一撃で、試合の流れは決定的なものとなった。川井はCKから4点目もアシスト。自慢のキックで勝利に大きくすることとなった。

 元よりキックの精度や運動量の豊富さには定評のあるウイングバックだが、「強さや球際の部分は課題だったので、取り組んできた」と言う。今年に入ってからは「相手に競り勝てる場面が増えてきた」と語るように、自身の成長へ手ごたえも感じている。トップチームの練習にも呼ばれるようになり、練習ゲームではアシストも記録するなど「トップの中でも通用することはあった」と、さらに上を目指すモチベーションも得ている。

 次なる見せ場は決勝戦となるが、「しっかり戦うだけ」と自信を得たからこその自然体と、魔法の右足を携えて決戦へ挑む。

(取材・文 川端暁彦)
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