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大分へ“出戻り1号”立命館大MF國分伸太郎「清武くんや西川くんの世代との間をつなげたい」

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大分へ“出戻り1号”となった立命館大MF國分

[11.13 第94回関西学生サッカーリーグ後期第11節 立命館大1-2大阪体育大 ヤンマー]

 寄せられる声援や高まる期待に応えるつもりでいる。来季の大分トリニータ入団が内定している立命館大のMF國分伸太郎(4年=大分U-18)は「開幕スタメンはもちろん狙っていますし、できれば5ゴール5アシスト以上はしたい。次のカテゴリーがどこになるかはわかりませんが、大卒で帰る以上はそのくらいの成績は残さないといけない」と言い切った。

 今月13日に行われた関西学生リーグ最終節で立命館大は大阪体育大に1-2で敗戦。全日本大学選手権(インカレ)出場を逃した。背番号10としてチームを牽引した國分は「1年を通してずっと使ってもらっていましたし、そんななかで立命館大をインカレへ連れて行けなかったのは悔しいです」と唇を噛む。これで4年間の大学サッカーは終了。次はJの舞台へ足を踏み入れる。

 大分トリニータU-18から立命館大を経ての“古巣復帰”。クラブとして下部組織出身者が大学を経由して復帰するのは初のこと。國分は出戻り1号として、慣れ親しんだクラブへ帰還することになった。

 大分U-18で過ごした2010年から2012年と、現在のトップチームの状況は大きく異なる。当時はJ2へ所属し、ランコ・ポポヴィッチ体制から田坂和昭監督へ代わるタイミングだった。チームは國分が立命館大へ進学した2013年にJ1に復帰するも1年で降格し、2015年にはJ3降格。國分が大学で4年を過ごす間にJ1からJ3へ舞台を変えた。現在は片野坂知宏監督が指揮を執る。

 とはいえ、クラブの変化は國分にとってマイナスではない。「逆に監督も代わり、若手中心ですし、サッカーのスタイルも大きく変わったのはポジティブに思っています」と言うとおりだ。

「どうしても高校生の頃はフィジカル的な要素が必要とされるトップのサッカーと、ユースのやっているサッカーの違いは大きく難しかったですが、今のサッカーは僕らにフィットするようなスタイルに変わっていると感じます。ユース上がりの選手も多いですし、そのなかで共感できる部分やイメージの共有はできると思うので、ポジティブな面が大きいです」

 また離れていた4年の間も、クラブとは十分なコミュニケーションが取れていたという。九州から関西の大学へ進学したが、大分の強化担当者は國分の動向を注視。大学3年時の冬にはクラブを訪れるように要請したほか、今季の前期リーグ戦はほとんどの試合を見に来ていた。

「何よりもかなり早くに話を頂けたのが嬉しかったです。大学3年の後期で呼ばれたときは行けなかったのですが、今季の前期リーグが終わった瞬間に(大分へ)いきました。ずっと強化の方が試合に来てくれていたので、コミュニケーションは取れていて、チーム(大分)の状況も知れていたので……。本当にありがたいことです」

 クラブを外から見つめる4年間。そこには悔しさやもどかしさを感じる時期もあった。なかでも、2学年後輩のMF坂井大将やMF姫野宥弥、DF佐藤昂洋がトップチームの中心としてプレーしているのを見ることは、複雑な想いがあったという。

「僕が大分U-18で3年生だったときの1年生が今のトップチームで主力になっているというのがあります。坂井、姫野、佐藤やもう一つ下のMF岩田智輝もそうですし、まだまだ未熟な頃から一緒にやっていた彼らがトップに上がって活躍しているのを見て、もどかしい気持ちでいっぱいでした」

 悔しさを胸に関西の地で経験を積んだMFは、これから彼らと共に大分を再建していくつもりでいる。かつて大分U-18からトップ昇格したGK西川周作やMF清武弘嗣は、ここからキャリアをスタートさせ、ステップアップ。現在では日の丸を背負う。國分は偉大な先輩たちの背中を追う覚悟も持つ。

「後輩でもある彼らがトップに上がってやっているなかで、清武くんや西川くんの世代から少し間が空いているので、その間を自分たちがつなげるように。出戻り1号として、期待をされている分、チームで結果を残したいですし、これから大分をもう一回再生したいなという想いがあります」

「サポーターの方も期待してくれていると思うので、“こんなもんかよ”と思われないように、結果で示したいと思います。楽しみな思いの方が強いので、早く馴染みたいです」

 関西で過ごした4年間で心身ともにたくましくなったMFが“古巣”へ帰る。大分育ちというプライドを胸に、熱い思いをたぎらせて、Jリーガーとしての日々は始まる。

(取材・文 片岡涼)
●第94回関西学生リーグ特集

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