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重圧かかるPK沈めた清武…心に刻まれた“本田の言葉”

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重圧のかかる場面でPKを沈めて先制点をもたらしたMF清武弘嗣(セビージャ)

[11.15 W杯アジア最終予選 日本2-1サウジアラビア 埼玉]

 司令塔として日本の攻撃を力強くけん引した。トップ下の位置に入ったMF清武弘嗣(セビージャ)は、ポジションを細かく変えながらボールを呼び込むと、長短織り交ぜたパスでリズムを生み出す。そして、前半45分にはプレッシャーの掛かるPKを確実に沈めて先制点をもたらした。

 誰が先発で起用されるのか選手にも分からず、清武も「(バヒド・ハリルホジッチ)監督が皆に緊張感を持たせようとしていて、それが伝わってきた」と話した。しかし、「でもチームの方向性としては、誰が出ても絶対に勝たないと試合だったし、引き分けもいらないくらいだった」と誰がピッチに立とうとも、チームとして目指すべきものは変わらなかったと主張した。

 そして、FW本田圭佑(ミラン)、FW岡崎慎司(レスター・シティ)、MF香川真司(ドルトムント)らが先発を外れる中、清武は同じくロンドン五輪世代のFW大迫勇也(ケルン)、FW原口元気(ヘルタ・ベルリン)、リオデジャネイロ五輪世代のFW久保裕也(ヤングボーイズ)と攻撃のユニットを組むことに。メンバーが伝えられると、「自由にやろう」「形に捉われずにやろう」「自分たちがやるだけだ」という話をしてピッチへと向かった。

「相手があまりついてこなかったので、常にフリーでボールを受けてプレーできた。速攻と遅攻を使い分けようと考えていた」と振り返ったように、攻撃のタクトを振るい好機を創出しようとする。スコアレスのまま迎えた前半43分には、自らが放ったシュートがPA内にいた相手DFのハンドを誘ってPKを獲得。4日前に行われたオマーン戦でもキッカーを務めたように、ペナルティースポットには清武が向かった。

 グループ首位に立つサウジアラビアをホームに迎え、勝利だけが必要な試合。大きなプレッシャーが掛かる場面だったが、相手GKが飛んだ逆方向を突いたシュートはネットを揺らし、チームに先制点をもたらした。

 これまで大事な試合、大事な場面でPKキッカーを任されてきた本田からも言葉を掛けられたようだ。「圭佑くんが『本当に、決めることによって自信になってくる』と言ってくれた。だから、この1点は自分にとって、すごく大きな1点になると思う」。重圧の掛かる場面でPKを決めたことが、今後の自信につながってくると胸を張って答えた。

 自身は後半19分にピッチを後にしたが、勝ち点3にこだわったチームは2-1の勝利を収め、見事にミッションを完遂した。「チームが一丸となって本当に全員で勝ち取った勝ち点3。今年最後の締めくくりとしては、すごく良かった」。チーム全員でもぎ取った勝利だろう。だが、その中心に清武がいたのは間違いない。

(取材・文 折戸岳彦)

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