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弱点克服の先に見据える夢…明治大MF中村健人、ヒガシの10番から紫紺のルーキーとなった今

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アディダス「RED LIMIT PACK」に新たに登場した「ACE 17」を着用した中村健人

 来るべき日、紫紺のMFは急加速で上のステージへ駆け上がっていくはずだ。明治大のルーキーMF中村健人(1年=東福岡高)は目標であるプロ入りを見据え、マイペースに歩みを続けている。

 今年1月の全国大会で東福岡高を日本一に導いた“ヒガシの10番”。今は実力者揃いの明治大で出場時間を伸ばすべく、『個の力』を鍛えている真っ最中だ。その視線はプロになる日を見据えて、揺らぐことはない。大学4年間のプランを立て、夢への距離を縮めている。

 今は雌伏の時。それでも必ずや再び、スポットライトを浴びる日はやってくる。東福岡の赤いユニフォームをまとった姿ではなく、深みを増した明治大の紫紺のユニフォーム姿で。自らの足でその日を引き寄せるべく、トレーニングへ励んでいる。自らを“マイペース”と称するように、どんな状況に置かれても動じずに、淡々と受け入れては前へ歩みを進めていく中村。大学1年目のシーズンも終盤に差し掛かった現在地は?

―東福岡高から明治大へ進学。大学リーグのデビューは4月16日に行われた第3節・流通経済大戦での途中出場でした。今振り返って、出だしは順調でしたか?
「高校選抜の欧州遠征を終えて、明治大へ帰ってきたときには、もうMF佐藤亮(明治大1年=FC東京U-18)がリーグデビューしていたので。『(1年生のなかでデビューするのは)一番が良かった』とは思いました(笑) でも全体的に見て、大学リーグでのデビューは遅くなかったので、出だしとしては悪くはなかったかなと思います」

―大学サッカーへ進むなかでの戸惑いなどはありましたか?
「試合に出たときは、もっと出来るなと思ったのですが。明治大の練習で先輩とやるのが、自分としては一番やりにくさを感じました。紅白戦では明治大のスタメンの人たちとプレーするわけで。その紅白戦が一番厳しくてレベルが高いです」

―大学のリーグ戦よりもチーム内の紅白戦が厳しい?
「自分としてはそうですね。距離感がまず違います。明治大は一対一の練習をたくさんやっていて、自分がボールを持ったときに、どれだけフェイントをしても全然相手をはがせなかったりします。個で負けないことをテーマでやっているので、個人で一枚はがすまでは何も出来ないという状況。それに、みんな身体能力も高いので、スピードだけで抜くのは難しいです」

―『スピードだけで抜くのは難しい』ということですが、プレー中により意識している部分はどこですか?
「ボールを受けた瞬間に、どれだけ早く選択肢を広げられるかは意識しています。あとはボールを持っているときの強弱、パスを出すタイミングですね。ここは少し遅くいこうとか、味方が走っているときにちょっと遅めのボールなのか、早めのボールなのかとか。相手のタイミングをずらしつつ、味方にはぴったりと合うパスを出す。そういうのは意識しています」

―大学へ進学後、その部分の成長は?
「大学に入ってからは、どちらかというと身体的なほうが身についているかもしれないです。切り替えの速さだったり、瞬間的なスピードだったり……大学サッカーは結構強くて早いので、まずはそっちに身体を慣らさないといけないというのはありますね」

―今夏には総理大臣杯では2試合に出場。初めて経験する大学の全国大会(2回戦・東海学園大戦)では、PK戦でキッカーを務めるなど大役も任されました。緊張などは?
「緊張はなかったですが、先輩が最後の大会だからという責任感みたいなものがありました。ヒガシのときもプレッシャーは少しありましたけど……でも普段から緊張したり上がったりしないので、逆に緊張したいなと思います。U-19全日本大学選抜でも、のんびりしていました(笑) 選抜の選考会ですか? そこでも緊張はなかったです」

―今まで緊張した経験がない?
「全国大会・決勝のPK戦(1-1・PK6-5 市立船橋高)は、緊張しました。しかもGKに読まれて触られていたので危なかったです。今振り返っても決まってよかったです(苦笑)」

―大学リーグや総理大臣杯、U-19全日本大学選抜を経験してきたなかで、大学サッカーで気になる選手はいますか?
「高校1年生のときの3年生だった先輩、松田天馬くん(鹿屋体育大3年=東福岡高)ですね。天馬くんをずっと尊敬していて。明治大に来て、悩んでいるときも相談しました。ちょうどこの夏にU-19全日本大学選抜の韓国遠征があったとき、天馬くんは九州選抜として来ていて、話す機会も多かったので。そこで色々と話せて、すっきりしました」

―どのようなことを話したのですか?
「天馬くんもどちらかといえば攻撃的な選手。スピードタイプというよりも、中盤で組み立てるタイプ。天馬くんは守備ができるので、『ちょっと守備ができなくて試合に出られないんだけど』という話をしていたら、守備についてのアドバイスを色々もらいました。全部聞いていて『確かになぁ』と思う話ばかりで……自分のなかで整理できた気がします」

―大学進学の際には、松田選手のように九州に残るという選択肢もあったと思いますが、関東の大学へ進学した理由は?
「自分としては、九州に残りたい気持ちもあったのですが、レベルの高いチームや上のチームを目指すとなったら、関東へ出るしかなかったので。福岡大などはプレースタイルが少し違うかなと感じたこともあって、関東へ出ることを決めました」

「高校生のときから個の力や対人などを強くしたいと、思っていたので。先輩の皓貴くん(木戸皓貴(明治大3年=東福岡高)から話を聞いてみたり……先輩がいるところの方が詳しく状況がわかったので。自分の弱点を克服したいなという思いが強くて明治大を選びました」

「今、大学1年目で試合に出られないのはしょうがなくはないですけど、自分の予想内ではあります。自分の苦手なところを補って戦っている分、1年間は練習に費やすことになるかもしれないと覚悟して大学は選んだので。今の状況は受け入れています」

―『弱点を克服したい』と明治大を選んだとのことですが、具体的に弱点は?
「一対一、個人で打開できないという部分です。相手に囲まれたりしても、一人でゴールまで運べるとか、そういうプレーを全然やっていなかったので……」

「あとは守備ですね。今までは守備の連動だったり、戦術理解というのを全くやっていなかった。そういう部分をやらないといけないと感じています。高校を卒業するとき、東福岡高の総監督に『最近のプロは守備をやらないと、取ってくれないぞ』と言われて。今まで守備というのは自分がごまかしてきたところだったので、意識してやっています」

―総理大臣杯後、後期リーグの出場へ意欲をみせていましたが、ここまでは出番がない状況が続いています。
「U-19全日本大学選抜の遠征にいっていた影響で開幕の3、4日前にチームへ合流しました。そこからセカンドチームで練習していたのですが、帰ってきたときにあまりいいインパクトや成長したなと思わせることができなかったんです」

「U-19のコーチたちには、チームへ帰ったときには、“U-19へいって良くなりましたね”と言われるような行動をするようにと言われてきましたが、それが足りなかったなと。出だしで遅れて、チームも調子が良かったこともあって、メンバーも安定していて。あまり入り込めずにいました。最初のインパクトが足りなかったと思っています」

―試合に出られずに悔しいという経験は久しぶりなのでは?
「高校2年生のときくらいですね。高校2年生の冬の選手権・開幕戦に出たくて、調子は良かったんですけど怪我明けだったりで、出ることができなくて。そのときに似ているといえば似ています。でも他の人ほど、病んだりはしないんです。そんなに落ち込まないタイプので。自分に自信がある? どうなんでしょう。ただ“のんき”なだけかもしれないです(笑)」

―明治大は関東リーグで優勝し、12月には全日本大学選手権(インカレ)が控えています。
「もうこの時期はリーグ戦でメンバーに入るしか、試合経験を積むことはできないので。この時期に試合に出ておきたいなと思います。インカレもまだ経験したことがないので、しっかりと体験して。今の1年生や来年の1年生でトップチームに入る人がいたら、そういうのを伝える人は大事だと思うので。自分がその位置に立てればいいなと思っています」

―今、一番の目標はどこにありますか?
「高校までは目先の大会で優勝したいという思いが強かったのですが、大学に入ってからは、もっと個人として成長しないといけないと強く感じています。同学年でもうプロになっている選手もいるわけで、自分はどうやったらプロになれるかを考えたときに、個人として成長しないといけないなと。4年間でプランを立てて、4年後に一番いい進路や選択ができればいいなと思っています」

―立てた4年間のプランを教えてもらってもいいですか?
「やっぱり室屋成選手(明治大→FC東京)のような歩み方が理想的なのかなと思っています。特別指定選手になって、4年生の時にはプロへいけるほどの力があるという。そうなれる自信?……今はまだまだなので、これからですね」

―今現在で上のカテゴリー、プロ相手でも通用する部分はどこだと感じていますか?
「“崩し”というのは、いけるんじゃないかなと思っているんですけど。まずはそれを見せるためには、練習ではあまりわからないので、試合に出ないといけない。なので、まずは試合に出るためにやることをやって。守備や身体作りをしっかりとしたいです。2年生からはしっかりと試合に出たいので。そういう意味ではインカレよりも、来年のリーグ開幕戦が大事だなと思います。あとは天皇杯などで勝ち進んで、Jクラブと戦ってみたいという思いは強いですね」

―スパイクへのこだわりはありますか?
「履いたときのフィット感が大事で、あとは蹴りやすさを重視しています。スパイクによって甲の高さやポイントの高さは違うので、そういう部分の違いで感覚は変わってくるので、その二つはとても大事にしています」

「それに加えて、ポイントやHGだったり、革など素材を気にしていくんですけど。フィット感や蹴りやすさや感覚を一番重視していますね。なるべく足全体にフィットして、隙間がないほうが好きです」

―ソックス一体型のタイプを履いたのは初めてということですが、感触は?
「今までは足首周りの生地が厚くて、個人的には足首を動かしにくい感じもあったのですが、今までのものとは違って、これは履いたときにすごく足首を動かせると感じました。そこはやっぱり大事ですね。足首はとても使うので」

―スパイクへのこだわりが強い?
「人よりもこだわりはあるほうだと思います。スパイクによって、ボールに当たったときの感覚が全然違うので。そこは気になります」

―今回のカラーリングが『RED LIMIT』ということで、赤と黒になっています。印象は?
「履いているとテンションが上がります。めっちゃかっこいいですし、デザイン的にも好きです。赤と黒でかっこいいですよね。赤は高校時代のチームカラーですし、すごく好きな色なので。なによりも高校の時のことを思い出しますね、やっぱり」

(取材・文 片岡涼)
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