beacon

[MOM1960]広島ユースMF力安祥伍(3年)_アグレッシブなプレーと精神面支える働きで3発快勝に貢献

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.27 高円宮杯プレミアリーグWEST第16節 広島ユース 3-0 東福岡高 吉田サッカー場]

 残り3節で、2位・セレッソ大阪U-18との勝点差は6。C大阪の結果次第では優勝もあり得る一戦とあれば、選手たちが燃えないわけがない。3ゴールを奪った攻撃、無失点で終えた守備。サンフレッチェ広島ユースは双方で多くの選手が活躍したが、特に目を惹いたのは試合後、「いつもより足が出たし、走り回れた。守備でも相手をしっかり追いかけれたし、攻撃もチャンスがあれば前にも出ていくことができた」と胸を張ったボランチの力安祥伍(3年)だ。

「球際や1対1では絶対に負けられないし、ヒガシにはJに内定している選手もいるので、そいつらには絶対に負けたくという気持ちで挑んだ。対人プレーで十分、戦えていたと思うし、毎日のトレーニングの方が自分としては激しい。普段から厳しいことをやっているから、今日は上手く出せたのかなと思う」。そう振り返るようにこの日、対戦相手の東福岡高にはDF小田逸稀(鹿島内定)、MF高江麗央(G大阪内定)という実力者がいたが、一歩も引くことなくアグレッシブな守りを繰り返し、立ち上がりから相手に決定機を与えない。

 一人で対処しきれない場面や攻撃面では、「小学校からチームが同じなので、声を出し合わなくても、プレーが通じる。ボランチのパートナーとしては一番やりやすい」と説明する1つ歳下の後輩MF川村拓夢と見せる阿吽のコンビネーションで、3列目からチームを盛り上げた。得点やアシストなど記録に残るプレーはなかったが、沢田謙太郎監督も「全体的な部分が重かったり、滞っていた部分もあったけど、祥伍が前半の途中からペースアップして、チームに勢いが出ていった」とハツラツとしたプレーでチームに活力を与えた力安の活躍を称えた。

 プレー面に加えて、指揮官が強調するのは精神面での貢献だ。広島は先週、Jユースカップの決勝でFC東京U-18に敗れ、タイトルを逃したばかり。力安自身が「負けた後は立ち直れなくて、凄く悔しかった」と口にしたように、気持ちを切り替えるのは簡単ではない。それでも、「祥伍自身、負けて相当、悔しい想いをしたんだろうけど、それでも周りに『次はプレミアを獲るぞ』と言い続けてくれたのが大きかった」と指揮官が称えたように率先して、チームメイトを次なるターゲットであるプレミア制覇へと気持ちを切り替えさせた。彼自身は試合前日と前々日は大学の面接に挑んだため、チーム練習には参加できない難しさもあったが、一人でランニングするなどしてこの日に向けた準備を怠らなかったことも見逃すことはできない。

 今節の優勝は果たせなかったが、神戸弘陵高とのアウェーゲームに挑む次節は引き分け以上で優勝が決まる。しかし、「優勝を決めることも大事だけど、目の前の一つひとつの試合を全員で戦うことの方がより大事」とタイトルは意識し過ぎに決戦に挑む構えだ。この日の活躍同様、力安らしくチームに活力を与えるプレーができれば、自ずと歓喜の瞬間が近づくはずだ。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
2016プレミアリーグWEST

TOP