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テュラムが試合に移民招待、一部で批判

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[パリ 6日 ロイター]

 6日にパリで行われたサッカーの2008年欧州選手権(ユーロ2008)予選のフランス対イタリア戦で、フランス代表DFリリアン・テュラムがホームレスの移民80人を試合に招待した。招待した移民の中には、3週間前に起きたパリ南部の不法占拠事件に関与した者も含まれていたため、右派の政治家からは批判の声が出ている。

 テュラムがホームレスの移民を招待した様子が大きく報じられたことを受け、極右政党「フランスのための運動(MPF)」のフィリップ・ド・ヴィリエ氏は「サッカー選手はサッカーをすることが仕事」と批判。不法移民には宿初施設が与えられるのに対し、多くの国民が政府補助住宅に入居できないのはひどい話だ、とも付け加えた。ラムール・スポーツ相は、選手達は誰でも試合に招待できると認めつつも、フランスサッカー協会に対し「フランス代表の試合が損なわれないように」と配慮を求めた。

 フランスでは昨年、不法移民を含む若者らによる大規模な暴動が発生。サルコジ内相が移民対策強化を進める一方、国内では移民問題について意見がわかれている。テュラムは以前、サルコジ内相に対し、極右政党「国民戦線(FN)」のジャンマリ・ルペン氏の政策を真似している、と批判している。

 フランス政府の発表によると、国内では490万人の移民が生活、20─40万人が不法移民という。ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で準優勝したフランス代表には、アルジェリア移民の子である元主将のジネディーヌ・ジダンを始め、西インド諸島系のテュラムとFWティエリ・アンリ、アフリカ系のMFパトリック・ビエラやMFクロード・メケレレら、仏以外にルーツを持つ選手が大半を占める。国内では多民族チームを称賛する声が挙がったが、日常生活では政府の対応に不満を感じる移民は少なくないという。

<写真説明>9月6日、サッカーの2008年欧州選手権(ユーロ2008)予選のフランス対イタリア戦で、フランス代表DFリリアン・テュラムがホームレスの移民80人を試合に招待した。7月撮影
(2006年ロイター/Noel Kokou)

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