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「代表も落ちたし、もう後がない」筑波大MF鈴木徳真、再び世界を知るために

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アディダス「RED LIMIT PACK」に新たに登場した「ACE 17」を手にする鈴木徳真

 もう後がない。そう自覚しているが悲壮感はない。今の状況を受け入れ、挑戦の日々を楽しんでいる。U-19日本代表から落選した筑波大MF鈴木徳真(2年=前橋育英高)は「今までの自分と違った自分を求めてやっています」と現状を語る。

 10月に行われたAFC U-19選手権バーレーン2016でアジア制覇を遂げたU-19日本代表。そこに鈴木の姿はなかった。1次予選や大会直前の候補合宿に招集されるも、本番では落選。2013年U-17W杯メンバーのMFだが、U-20W杯出場のかかったアジアでの大一番でピッチに立つことは叶わなかった。

 今季の大学リーグは全日程を消化し、残るは冬の大学日本一決定戦である全日本大学選手権大会(インカレ)のみ。結果を求めるMFは、来年行われるU-20W杯やユニバーシアード競技大会を見据えながら、目前の大会へ向け、一日一日を無駄にすることなく取り組んでいる。

―今季の関東大学1部リーグ戦、筑波大は2位で終えましたが、鈴木選手は個人として、1ゴール1アシストという結果でした。物足りなさはあるのでしょうか?
「それは確実にありますね、シーズン当初に決めていた5得点10アシストという目標に全く届いていないので、もっと改善していかないといけないです」

―今季は夏前に腰を痛め、離脱する時期もありました。
「5月前くらいから腰の痛みが続いていて、怪我して復帰してを繰り返していました。ずっと痛みを抱えてやっていたのですが、爆弾が爆発したような感じになってしまいました」

「神経と筋肉を痛めて、サッカーをやりながら治すというのは不可能だったので、少し休みました。7月中旬の関東大学選抜や全日本大学選抜の合同選考会では、復帰したてだったのですが、久しぶりに動けるのですごく気分が上がってしまって……本気でやったら、それが逆にマイナスに働いて激痛が走って。総理大臣杯に間に合わなくなってしまいました」

―故障したものの、合同選考会は充実したものだったそうですね?
「怪我をしましたけど、ただただ楽しかった。選考であることや自身のパフォーマンスについては深く考えず、とにかく今、この時を楽しみ続けたいと思う瞬間でした。無我夢中でやっていたからこそ、楽しかったんでしょうね」

「正直、今でもプレーがどうだったかではなく、“楽しかった”という記憶しかないんです。ただただ楽しかった。あのときはいっぱいボールを触ったからなのかな。ボールを触れば触るほどに、リズムが出てくるというか、頭のなかのテンポが動き出す感じがありました」

―その後は離脱が続き、総理大臣杯は欠場しました。
「だいぶ落ち込んでいましたね。選考会が終わって、そこから大臣杯までのスパンが約3週間ほどと短かったので。ただ痛みが今までとは違い、寝るにも寝れないし、座って起き上がるときは立てない。そういうのがずっと続いていました。なかなか治らず、総理大臣杯は“みんな頑張ってくれ”と後押しする立場でした」

―総理大臣杯を過ぎ、約1か月の離脱から復帰。後期リーグ戦では出場時間を伸ばしています。個人として、満足している部分はありますか?
「後期は結構試合には出ていますね。けれど、やっぱり結果が一番なので。後期では、1アシストしかしていないですし、そこの面においては改善が必要だと思います」

「ただコンディションというか、新しい自分に生まれ変わっているというのは、少しおかしいですけど……今は今までの自分よりも違った自分を求めてやっているので。今の時点では具体的には言えないですけど(笑)」

―結果が出るまで、“生まれ変わろうとしている部分”は明かしたくないと?
「その結果が出るまで言わないと、自分のなかで思っているので。でも“それ”をやったことで、ピッチ上でやれる範囲が幅広くなりました。今は何を言ってるかわからないかもしれないですけど、そこから先は想像してください(笑)」

「今言ったら、あいつが何をしているかというのが、分かってしまうので言わないです。単純なことなんですけどね。だけど、1年後や2年後に。もしくは4年後にどれだけ活きてくるかというのは、自分のなかで一番の楽しみなんです」

―12月上旬からのインカレでは、その片鱗を見せることはできそうですか?
「どうですかね。出るかなっていう(笑) ですがコンディション的には上がってきているので、やれるかなとかではなくて、やらないといけないと思っています。自分は簡単に言えば代表も落ちたし、もう後はない。やるしかないです」

―U-19日本代表の落選は悔いが残るものだったと思います。
「不完全燃焼。それだけでした。やりたいことが出来なかった。実力がないなと思いました」

―周りとの連携で課題を感じたのか、個として足りないものを感じたのでしょうか。
「個ですね、確実に。周りと合う、合わないではなく、一人が上手ければ絶対に何かできますから。自分が何か出来ないのは、単純に力不足だなと思っています。簡単に言えば実力がなかった。プラス不完全燃焼でした」

―後悔している部分はありますか?
「プレーに関してはないです。撃沈したというわけではなく、(自分自身を)知りました。自分に何がないのか知ったし、(落選理由も)分かりやすかったので。自分に足りなかったのは、そこまでの準備の部分。何をやってきたかなと思い返したら、そこまでの突き詰め方しかできなかったんだなと」

「それが最終予選へ行きたいという意欲だったのかなと思ったら、悲しくなったというか……。自分自身を問い質しながらやってきたのに、自己満足の世界だったんだなと。だからこそ気持ちもすっきりしていたのかもしれないですね」

―落選は素直に受け止められたものだったのでしょうか?
「妥当だなと思いました。ボランチだったら、MF坂井大将(大分)、MF神谷優太(湘南)、MF市丸瑞希(G大阪)、MF原輝綺(市立船橋高)がいたので」

「神谷と市丸と大将(坂井)は決まっていたと思うんですが、残り一枠というところで原か俺かと言われたら……。(原は)コンディションもいいですし、伸びしろがあるし、俺より2歳下で若いので、経験値として積ませたほうがいいんだろうなと」

「監督の心を読むのはよくないことですが、自分が監督だったらと考えたときに、絶対にこっち(原)を連れて行きたいと思ったので。だから妥当だなと思いました。俺が監督でもそうしているなと」

―自分が監督でも、そういう選択をしたと。そう思ってしまうところに悔しさがあるのでは?
「それはもう倍になりますよね。そう感じてしまったら。落選したけど、すっきりした気持ち……とは言っていますけど。あのとき実際はだいぶ悔しかったです。あぁ、また自分の目標に近づくための一段階がなくなってしまったのかという思いがあって」

―経験できるはずの、レベルアップに必要なはずの、世界舞台が減ったと。
「やっぱり、あの緊張感は癖になりますからね。代表で国際大会をやるときは、緊張するというかワクワクするというか、色々な複雑な気持ちが絡み合うんです。何て言えばいいのかわからないんですけど、それがたまらないんですよね。またそこを求めるというか、もう一度やりたいと思いますし。それが無くなってしまった悲しさはすごくありました」

―そういう意味では、来現時点での一番大きな目標は来年のU-20W杯になりますか?
「U-20W杯に出たいのが一番です。何でかと言えば、U-17W杯で味わった世界との差をもう一度知りたい。あの時は面白いようにサッカーが楽しめて、試合が終わった後には、興奮して眠れなかったんです。あれだけワクワクして、眠れないというのは初めてで。本当に楽しかったです」

―もう一度、世界舞台に立ちたいと強く思う?
「もう一個上のレベルにいくために、あそこへいって、戦って。さらに上のレベルにいかないといけないと思っています。もちろんいって終わりなのではなくて、そこからが楽しみだと思っているので。先々を見据えた上で、スタート地点にいくためにも、そこに立たないといけないと思っています」

―U-20W杯のみならず、来季は大学の世界大会であるユニバーシアード競技大会も控えています。当然どちらも狙っていくのでしょうか?
「欲張りなのでどっちもいきたいです。数多く世界を経験したほうがいいと思っているので。過程として両方を経験するのが理想ですが、そんなに甘くないと思っています。でもだからこそ面白いというのはあるので。

「今、一番近い目標というか課題はU-20W杯に出ること。それがスタートラインに立つための課題なんじゃないかなと思います」

―今回のスパイクの印象はどうしょうか?
「物の印象って、かっこいいか、かっこ悪いかじゃないですか。そういう部分で、これはかっこいいです。それと、前後左右で重さに偏りがあるスパイクは結構あって、重心を傾けたときに重く感じるものもあるんですが、これは全く偏りがないですね。持った瞬間にあれ? と思うほどでした」

―シュータンがなくなるという変化により、フィット感は増しそうです。
「シュータンがなくなったのは面白いなと思いました。サッカー選手は誰もが素足に履いている感覚がいいと言うと思うんですが、それにどれだけ近づくかという意味では、このスパイクは面白い。その選手、その選手の良さを出してくれるんじゃないかなと感じました」

―プレーしていて自身の“限界値”を超えるような、リミッターが外れる瞬間はありますか?
「あります。でもそれを感じるときは“あの時だったんだ”って、その場ではわからないのですが、あとから気がつくものですね。何が一番そうさせているかと思うと、ものすごくただただサッカーを楽しんでいるときです。最近では大学選抜の選考会がそうでした。ただただ楽しかった」

―『RED LIMIT』ということでカラーもインパクトがあるスパイクです。赤色へのイメージはありますか?
「僕は小学校、中学校と赤いユニフォームだったんです。高校が黄色で、大学が青という信号みたいな段階で(笑) 小学生のときの“勝ちたい、ただそれだけ”という気持ちは、今思うとすごく新鮮で。当時、赤のユニフォームを着て、“負けたくない”って思っていたので。今も赤を見ると、負けたくないなと闘志が溢れてメラメラしてくるのを思い出しますね。っていうのは誰にも言ったことはないんですけど(笑)」

(取材・文 片岡涼)
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