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浦和MF武藤、決定機逸で謝罪「最後の試合で“勝たせるプレーヤー”ではなかった…」

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チームをリーグ制覇へと導けなかった浦和レッズMF武藤雄樹は「本当に申し訳ない」と声を落とした

[12.3 チャンピオンシップ決勝第2戦 浦和1-2鹿島 埼玉]

 少なくとも3度の決定機を迎えた。それは本人も認めている。そのうちの1本でもネットを揺らしていれば――。浦和レッズMF武藤雄樹は「個人的にも試合を終わらせられるチャンスがあったので、本当に申し訳ない」と声を落とした。

 11月29日に行われた第1戦で1-0と先勝した浦和。年間1位のアドバンテージもあったが、武藤は「ほとんどアドバンテージがあったとは思わない。とにかく今日の試合に勝ちに行くんだという気持ちで戦っていた」と試合に臨んでいた。すると、前半7分という早い時間帯にFW興梠慎三がネットを揺らして先制に成功。しかし、この1点で試合の趨勢が決したとは言えなかった。

 元々、鹿島が優勝するには2点が必要な状況であり、それは浦和が先制しても変わらない。「先制できたのは良かったけど、鹿島からしたら、どちらにしろ2点決めないといけない状況だった。そこまで試合自体に大きな影響はなかったと思う」。しかし、浦和が2点目を奪えば話は変わる。リードが2点差に開けば、鹿島は試合前に想定していた2点より、1点多く得点を決める必要が出てくるため、浦和は心理的にも大きなアドバンテージを手に入れられるはずだった。

 そして先制後に続けざまに決定機を迎えたのが武藤だった。前半10分には右サイドでボールを受けると、距離を詰めるDF昌子源の股を抜いてPA内に持ち込み右足シュートでゴールを脅かすがクロスバーを叩き、さらに同26分にはMF宇賀神友弥のスルーパスからPA内に進入するが、シュートは昌子にブロックされて2点目を奪うことができない。

「2点目を取れば、明らかに優位な展開になったので、前半のチャンスをモノにできなかったのが悔しい」

 すると前半40分にカウンターからFW金崎夢生に同点ゴールを叩き込まれ、後半34分には金崎にPKを沈められて鹿島に逆転を許してしまう。浦和が優勝するには1点が必要な状況になり、猛攻を仕掛けると後半アディショナルタイムに再び武藤に好機が訪れる。しかし、左サイドからDF森脇良太が送ったクロスをDF槙野智章がヘッドで落としたボールに走り込んだ武藤のシュートは大きく枠を外れてしまった。「クロスバー、スライディングでブロックされたシュート、最後のシュートを含めて3つは(好機が)あったと思う。申し訳ないですね…」。

 今季から背番号9を背負った男は、14得点を奪った興梠に次ぐチーム2位の12得点を奪い、第2ステージ第16節磐田戦では「苦しい試合で勝利に導くゴールを奪うことをテーマにしてきたので、本当にうれしい」という決勝ゴールを奪って、チームをステージ優勝へと導いた。しかし、タイトルが懸かった大事な試合でゴールを奪えずに悔しさを滲ませる。

「結果的に最後の試合で勝たせるプレーヤーではなかったというのが、すごく残念だし、9番の仕事としては物足りないと思う。去年もチャンピオンシップで悔しい思いをして、今年も自分のゴールが決まっていればという試合になってしまった。最後の部分で成長できていないと思う」

 年間勝ち点1位になりながらも、リーグタイトルを逃した。鹿島との勝ち点差は「15」あったが、「このレギュレーションの中でやらなければいけないというのは分かっていた」。そして、「それだけの勝ち点差があった中で負けてしまうというのは、逆に僕たちにチャンピオンになる資質が、まだ備わっていないと思う」と唇を噛んだ。

(取材・文 折戸岳彦)

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