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[MOM1963]広島ユースFW山根永遠(3年)_優勝決める4発!相手脱帽させた“スーパーな選手”

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サンフレッチェ広島ユースFW山根永遠は優勝を決める試合で1試合4発

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.4 高円宮杯プレミアリーグWEST第17節 神戸弘陵高 1-4 広島ユース 三木陸上]

 後期に入り、組織での崩しにはしっかり対抗できるようになった神戸弘陵高だが、谷純一監督が「後期で勝ち点が獲れなかった試合はスーパーな選手にやられている」と振り返るように、互角の展開に持ち込んでも最後は相手のエース格が見せる圧倒的な個の力に屈する試合が続いている。代表例でいえば、第15節のセレッソ大阪U-18との試合だろう。一度は同点に追いつきながらも、U-19日本代表の左SB舩木翔に流れの中からハットトリックを許し、1-3で敗戦。C大阪に敗れたというよりも、舩木に敗れたという印象が色濃く残る試合だった。

 そして、サンフレッチェ広島ユースと対峙した今節は、10番を背負うFW山根永遠(3年)に4ゴールを献上。その圧倒的な存在感は、「10番が凄かった。抜け出した所できっちり決めてくる。いチームには必ず凄い選手がいることがよくわかった」と神戸弘陵のDF谷後滉人主将が脱帽するほどだった。

 広島ユースにとっては優勝が、神戸弘陵にとっては残留がかかった大一番とあり、山根は「プレスが凄かったし、CBとも良く戦っていた。ガツガツ来て、やりにくい部分もあった」。ゴール前での攻防はいつも以上に白熱していたが、「シャドーの二人(FW満田誠とMF仙波大志)が近くの見える位置にいてくれたので、出して走ったりして楽にプレーできた」と振り返る通り、周囲との連係から上手くゴール前へと飛び出し、チャンスを伺った。最初の決定機は前半15分。後方からの縦パスをPA左の仙波がヒールで流すと、山根がフリーで抜け出し、ゴール右隅にシュートを決めて先制に成功した。続く21分には右サイドからMF川井歩が上げたクロスを頭でたたき込んだ。

 前半は2本のシュートで2点を奪い、効率良くエースとしての仕事を果たすと、後半2分にはMF東俊希の左クロスが相手のハンドを誘発し、PKに。「たまたま近くにボールがあった。誰にも蹴らさないようにがっちりボールを掴んだ」と自然な流れで自らキッカーを務めることになった山根は冷静にゴールネットを揺らし、ハットトリックを達成した。以降は前線でのボールキープや左右両サイドへ流れてからの突破で、意図的に時間を作るプレーも増やし、チームの勝利を後押しした。

 ただ逃げ切りを狙うだけでなく、チャンスが来れば逃さない。40分には右サイドから上がったクロスが自身の目の前にこぼれると、足と懸命に伸ばしてゴールに押し込み、4点目をマーク。そのまま試合終了を迎え、4-1で勝利した広島の優勝が確定すると共に、この日の得点ラッシュによって、山根は通算得点を12まで伸ばし、FW藤山雄生(大津高)と並んで得点ランキングのトップに躍り出た。

 この日は鋭い飛び出しによって、得点を量産した山根だが、今季は負傷に悩まされ続けた一年だった。開幕直後には肩を脱臼。その後は足首を捻挫するなど思うようにコンディションが上がらなかったが、徐々に調子を取り戻し、第13節の名古屋U18戦から毎試合でゴールを記録。「凄く苦しかったけど、しっかり支えてくれる人がいた。とても深い一年になった」と振り返る。

「(プレーの)判断が決まってトントンと行ければ、相当レベルの高い質とスピードでできる」と山根を評する沢田謙太郎監督も支えてくれた一人だろう。能力の高さを認めながらも、「徐々にコンディションが上がって、力を出せるようになった。一年を通じて戦えたか、活躍したかと言えばまったくだけど、最後に上手く帳尻を合わせてくれた。ただ、本人も分かっていると思うけど、一年を通じて活躍できないと選手としてはやっぱり勿体ない」と少々、手厳しい言葉を続けるのは期待の表れでもある。

「まだ最終節が残っているので、そこでも他を寄せ付けないくらい点を獲りたい」。そう口にするようにこの日の4ゴールで満足せず、次は単独での得点王とチャンピオンシップでの栄冠を視野に入れる。来季からはセレッソ大阪でのプロ入りも決まっており、紫のユニフォームをまとってプレーをするのは残りわずか。これまで支えくれた人たちの恩返しとして、自身のゴールで歓喜を届けるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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