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仙台大が2年ぶり全国1勝、“経験”生かし金沢星稜大を退ける

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仙台大が金沢星稜大に2-1で競り勝った

[12.7 全日本大学選手権(インカレ)1回戦 仙台大2-1金沢星稜大 ゼットエー]

 第65回全日本大学選手権(インカレ)の1回戦が7日に行われ、ゼットエーオリプリスタジアムの第2試合では、16年連続33回目出場の仙台大(東北1)が、21年ぶり2回目出場の金沢星稜大(北信越1)を2-1で下した。10日に行う2回戦では阪南大(関西1)と味の素フィールド西が丘で対戦する。

 最高成績は平成元年と同9年の4強。2年前には2回戦で優勝候補の明治大を下す快進撃で8強に進んでいた仙台大だが、昨年は中京大に2点差をひっくり返されての逆転負けで1回戦敗退。また夏の総理大臣杯は2年連続で1回戦敗退と結果が残せずにいた。東北地区では圧倒的な強さを見せるが全国ではあと一歩が足りない。

 しかし2年ぶりに上げた全国での1勝は、その悔しい経験が生かされたものだった。前半から落ち着いたボール運びでゲームを支配した仙台大は、前半15分、GK山崎裕貴(4年=横浜創英高)からのロングボールをFW川島章示(4年=柏U-18)が頭で落とすと、左サイドのエリア内に入ったMF宮澤弘(3年=柏U-18)が反応。前に出ていたGK永井建次(4年=旭川実業高)のポジションを見極め、冷静なループシュートで先制点を流し込む。

 守ってもツエーゲン金沢への入団が内定しているDF榎本滉大(4年=共愛学園高)や中盤の要であるMF山田満夫(3年=帯広北高)を中心とした守備陣が集中力を切らさない。反撃を試みる金沢星稜大に前半終盤にシュートを打たれるが、前半37分にMF大谷内蒼(4年=星稜高)に許した中央突破からの強烈シュートは枠右。同アディショナルタイムにはFW西原樹(4年=川崎U-18)に直接FKを狙われるが、GK山崎が正面でキャッチした。

 だが後半に入ると4分、仙台大に試練が訪れる。相手FW西原にエリア内への侵入を許すと、DF川口大翔(3年=青森山田高)が対応。その際に川口は西原を突き飛ばしてしまう。PKを獲得した金沢星稜大は西原自らがしっかり蹴り込み、試合を振り出しに戻す。しかし仙台大は慌てない。同12分、右サイドからのCKを獲得すると、DF川口がヘディングシュート。これはGKに弾かれるが、こぼれ球を宮澤が押し込み、再び勝ち越しに成功。昨年と同展開だが、同点に追いつかれたあとにすぐに突き放す得点を奪えたことで、吉井秀邦監督も「去年の教訓が生きたのかな」とイレブンの成長に目を細めた。

 さらに今夏の総理大臣杯の1回戦、早稲田大戦の敗戦も自信になっている。仙台大は同試合を後半45分に奪われたゴールによって0-1で落とした。ただこの試合はシュート数の10-3が示すように、内容では仙台大が大きく上回っていた。「結果で負けては仕方がない」と前置きした指揮官も「全国ではこう戦えばいいということが分かった」と手ごたえを得る一戦になっていると話す。「同点とか負けていればいつものウチのサッカーをしようかなと思ったのですが、我慢しながらやりました」。試合終盤、金沢星稜大の猛攻を受けた仙台大だが、見た目よりもずっと余裕を持って戦いを終わらせていた。

 2回戦の相手は関西王者の阪南大。昨年度の準優勝チームと相手にとって不足はない。吉井監督も「去年も準優勝ですし、今年の選手層も厚い。当然、攻められることも想定している」と警戒したが、「すべて想定内と言いますか、こういう状況で阪南大と戦うことを分かったうえで準備してきた。これがどこまで上手く行くかなというところです」とニヤリ。2得点を決めた宮澤も「このチームは一回勝ったら流れに乗るチーム。泥臭く、90分諦めないで勝ちたい」と闘志を燃やした。

(取材・文 児玉幸洋)
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