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部員33人、FC東京U-18元監督の下で強化を進める四国学院大「四国から全国に行ける可能性を」

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インカレ初出場の四国学院大。四国から新たな風が吹いている

[12.7 全日本大学選手権(インカレ)1回戦 四国学院大 0-4 慶應義塾大 ゼットエー]

 初出場の四国学院大(プレーオフ)は、慶應義塾大(関東6)に0-4で完敗し、初戦で姿を消した。敗軍の将・本吉剛監督は「初めての全国大会で名門の慶應大学さんとやらせてもらえたのはよかった」と清々しい表情で試合を振り返っていた。

 空海生誕の地として知られる善通寺がある香川県善通寺市に所在。1949年創立と歴史のある四国学院大だが、サッカー部の創部は2010年。創部6年目で全国大会初出場を決めた。12年に四国1部に昇格すると、四国の雄・高知大には後塵を拝すものの、4年連続でリーグ戦2位。そして今年、初めてプレーオフに勝利して、全国大会へと駒を進めていた。

 部員数は33人。この数は今大会出場校の中でも圧倒的に少ない。学年分布をみると、3年生が4人、4年生はわずかに2人しかおらず、下級生中心のチーム編成。元FC東京U-18監督で就任2年目の本吉監督を迎えて強化を進めたことも影響しているが、それでも4年生世代は入学当初の同級生部員は8人しかいなかった。

 ただ少人数だからこそのチームワークがある。昨年はDF松島陽平(4年=徳島商高)がキャプテンを務めていたが、就職活動のために役職を3年生のDF野上太雅(高川学園高)に譲った。下級生に主将の座を明け渡すことになるが、松島によると、「このチームは誰がキャプテンということなく、みんなが声を出して、全員で引っ張っていける」ため、全く問題がないのだという。

 2年生までは高校サッカーの名門の野洲高や滝川二高といった名門校出身の選手もいるが、本吉監督がスカウトに携わってからはより地元に意識を向けている。監督は「四国の一線級の選手は関東や関西の大学に目が行っている。通用する子はいいのですが、例えば少し力の劣る子が行くと、なかなか試合にも絡めずに終わることが多い。それなら地元で頑張っていれば全国に行ける可能性も作ってあげたい」とその理由を語った。

 四国では安定した力を発揮する四国学院大だが、Jリーグ内定選手を擁する慶應大との差、全国レベルとの差は誰の目にも明らかだった。それでも収穫は多かったと口々に話す。キャプテンの野上が「全国のレベルを体感で来て、来年に繋がる試合が出来た」と意識を高めれば、本吉監督も「課題があるからこういう結果になっていると思うので、それをどう来年に繋げるかが大事」と奮起を促す。社会人になってもサッカーを続けるという松島は「日々の練習から全力を出して、他のリーグとの差を埋めてほしい。今日の経験を生かして全国で頑張って欲しい」とエールを送っていた。

(取材・文 児玉幸洋)
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