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常にそこにあった4回生の支え、関学大の未来を担うSB高尾は感謝繰り返す

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関学大のSB高尾瑠は先輩への感謝を繰り返した

[12.12 全日本大学選手権準々決勝 関西学院大1-1(PK3-4)日本体育大 町田]

 かわいがってくれた4回生。大好きな先輩たちと一緒に戦うことは、もうないという現実に胸は痛んだ。関西学院大は日本体育大に1-1(PK3-4)で敗戦。準々決勝で散り、2連覇の夢は消えた。

 関学大のDF高尾瑠(2年=名古屋U18)は「4回生にはめっちゃかわいがってもらっていたので、絶対に優勝したいなと思っていました。だからやっぱり悔しいです。自分がもっとやっていれば勝てた試合だと思うので……」と唇を噛む。

 ピッチでは、いつも4回生の誰かが高尾を支えてくれた。1年時から主力として抜擢され、右も左もわからずにがむしゃらにプレーしてきた。CB米原祐主将(4年=作陽高)やボランチのMF徳永裕大(4年=G大阪ユース)、MF宮村哲朗(4年=神戸U-18)は、どんなときもさりげなくカバーしてくれた。

 持ち味の攻撃力を活かせたのは、高尾の右サイドにMF森俊介(4年=東山高)がいたからこそ。2人の“ホットライン”は関学大の大きな武器だった。そして前線では、FW出岡大輝(4年=G大阪ユース)がゴールでチームを助けてくれた。先輩たちのフォローがあったことで、高尾は自身のプレーに集中できていた。

「試合中とか本当にみんながめっちゃ支えてくれるので。本当に4回生みんなにお世話になったんです」と4回生への感謝を口にした2年生DFは声を震わせる。

「俊くんとはずっとやってきて、自分たちのベースは出来ていましたし、カバーしてくれる米くん(米原)や点を決めてくれる大輝くん(出岡)。怪我をしている武くん(武田侑也)とか、きょう怪我してしまった健登くん(青木)。みんな、本当にいつも声をかけてくれたので……」

 リーグ終盤の関西大戦で右足首を負傷。その後は欠場が続き、インカレで実戦復帰した。この日の準々決勝・日本体育大戦では、同点弾をアシスト。後方からのパスにスピード乗って抜け出た高尾が中央へ折り返し、出岡が右足ダイレクトで叩き込んだ。

 「いつもやっていた形が最後に出来たのは良かったです」と微笑むSBだが、手応えがあったからこそ、PK戦の末の敗戦には悔しさが募る。「やっぱり悔しいです。自分がもっとやっていれば勝てた試合だと思うので悔しいです」と繰り返し、「十分にできたかもしれませんが負けてしまったので、ちょっと足りなかったなと思います」と自分自身へ矢印を向けた。

 これまでは自分のことで精一杯だったが、来季はそうはいかない。3年生となることで、チーム内での“役目”は変わる。「来年は3年生になるので、チームのためにやっていきたい。引っ張っていかないと……引っ張れますかね? ちょっとまずいです」と苦笑いしながらも、すぐに表情を引き締めた。

 頼れる4回生がチームを去る不安は計り知れない。それでもこれから先、今の4回生たちと歩んできた経験がきっと高尾を支えてくれる。ルーキーイヤーから重ねてきた経験を自信に変えて。関学大の未来を担うSBは歩み続ける。

(取材・文 片岡涼)
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