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青森山田に日本一もたらした4バックの成長、橋本「自分たちが変わってやろうと」

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鉄壁の守りを見せた青森山田高のCB橋本恭輔(右)とCB小山内慎一郎の両DF

[12.17 高円宮杯チャンピオンシップ 青森山田高 0-0(PK4-2)広島ユース 埼玉]

 日本一を懸けた一戦でその成長を実証した。青森山田高はプレミアリーグWEST18試合のうち、無得点がわずか1試合という攻撃力誇る広島ユースを110分間完封。右SB小山新、CB橋本恭輔、CB小山内慎一郎、左SB三国スティビアエブスの4バックはいずれも今年からレギュラーとなった選手。だが、中央の橋本と小山内は大一番で相手に簡単には楔を当てさせず、背後のスペースもケアし続けた。小山と三国はサイドの突破を阻み続けた。そして何より、各選手たちは相手にいい形でのシュートを打たせない。両SBは逆サイドからのクロスに身体を張って弾き、両CBはシュートコースを消し続けた。

 そして無失点で勝利。もちろん、4バックの力だけで勝ったゲームではない。前線、中盤の運動量や守護神・廣末陸の存在も欠かせなかった。だが、黒田剛監督が「守備だけは絶対に失点をしない。絶対に身体を張る。常にゴールを隠し、シュートもミドルも打たせないというような、今年4月から掲げてきたコンセプトをやってくれたと思います」と語る中で4バックはやるべきことを見事にやり切ったように映った。

 DFリーダーの橋本は「(4バックが)全員代わって色々言われたりして大変だったけれど、試合を重ねるにつれて慣れてきて、自分たちがやらないといけないという気持ちが多かった。まず自分たちが変わらないとチームは勝てないと言われていた。自分たちが変わってやろうと思ってやっていた」。自分たちが変わる、成長することがチームの成績に繋がる。それを信じてトレーニングしてきた。

 昨年は現在仙台でプレーするCB常田克人や左SB北城俊幸主将(現慶應義塾大)のようなタレントがいた。今年の4バックももちろんハイレベルだが、新チームがスタートした時期はずば抜けたような個はいなかった。だが、橋本は「人では無理だったら集団で守ったらいいとやっていた。1対1よりも2対1だったりでやる、という気持ちでやっていました」。個をチームでカバーすることを徹底。加えて、この日の試合後に橋本が「確実に1人では負けないようにしないといけないと思いますし、味方にコーチングしたりしないといけないなと思っています」とまた目標を語っていたが、個のレベルを引き上げることにも集中してきた。

 この日、橋本はJユースカップとプレミアリーグWEST得点王の広島FW山根永遠とマッチアップ。「チームミーティング以外にもユーチューブで見たりしていた」という橋本は山根が背後へ抜け出してくるよりも速く動き出してスペースをケアし、またボールを持たれてもシュートまで持ち込ませずに注目エースをシュート1本、無得点に封じた。個の成長も示したDFリーダーは「自信になりました。でもまだ自分も人に助けてもらってばかりなのでもっとできないといけない」

 4バック全てが入れ替わったからこそ、貪欲に成長を目指して来ることができた部分がある。選手権予選期間中に努力はしているものの、成長できない時期もあった。そして選手権予選直後のプレミアリーグ第16節で鹿島ユースに敗れたことで選手たちはもう一度危機感を持って取り組み、また積み上げることに成功した。黒田監督は「この時期ってわりとチームが確立された時、学ばなくなったり、情報が入っていかない、もうひとつ成長できるのに成長できなかったりする。4バックについては色々な意味での不安があったけれど、(経験がないことを)選手たちが理解して謙虚に何回も聞いてチャレンジして積み上げてきた成果」と説明。これに対して橋本は「僕ら何もない状況でAチーム入ったので、監督の言うこと全て実行しようと思ってやってきました」と語る。成長できなかった時期もあったが、4バックそれぞれが謙虚に努力し続けてきた結果、プレミアリーグEASTのラスト2試合、そしてチャンピオンシップと3連続完封勝利。その成長が日本一を引き寄せた。

(取材・文 吉田太郎)
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