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負傷明け先発でクロスバー直撃ミドルも、8失点敗戦…横浜FM内定・日体大DF高野「本当に不甲斐ない」

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横浜FM内定の日体大DF高野遼

[12.18 全日本大学サッカー選手権(インカレ)決勝 日体大0-8筑波大 駒場]

 負傷明けでフル出場したSBは「こういう決勝の舞台で0-8というのは本当に不甲斐ない……」と唇を噛んだ。大会直前に左足首を痛め、負傷離脱していた日本体育大の来季横浜F・マリノス内定DF高野遼(4年=横浜FMユース)は、決勝・筑波大戦で先発復帰。クロスバー直撃のミドルを放つなど存在感をみせたが、チームの0-8での大敗に無念さをのぞかせた。

 全日本大学選手権(インカレ)開幕の約2週間前に左足首を負傷。2回戦・静岡産業大戦には出場したものの、後半16分には同箇所の違和感を訴えて交代。その後は欠場が続いていた。しかし、決勝前日に復帰を果たすと筑波大戦で先発。頼れるSBはピッチへ帰ってきた。鈴木政一監督は「高井(和馬)がいない分、高野の攻撃力を活かしたい」との起用だったと言う。

 開始直後から果敢に攻撃参加。「今日は(出場停止の)和馬の分も得点に絡んで、優勝できればと思っていました」という意気で試合に入ると、存分に持ち味を発揮した。

 まずは両チーム合わせてのファーストシュート。開始3分、左サイドを駆け上がった高野のクロスからMF川戸大樹(4年=神戸U-18)のヘディングシュートはクロスバー上へ外れた。

 前半12分にはゴール正面から持ち込んだ高野が自ら左足でシュートを放つ。「あれでチームが勢いづけば」という渾身の一撃は惜しくもクロスバーを叩いた。試合後、筑波大の小井土正亮監督に「前半の高野選手のバーを叩いたシュートが入っていれば、どちらに転んでもおかしくない試合だった」と言わしめる一本だった。

 序盤こそ押し込んでいた日本体育大だったが、決定機を決められずにいるとずるずる後退。前半だけで3失点を喫すると、後半にも5失点。終わってみれば0-8の完敗だった。復帰戦でフル出場した高野だったが、試合後は8失点零封負けという結果に肩を落としていた。

「こういう動員のある試合は初めてで、みんな堅くなった部分はあったと思います。自分はわりと経験はあったので、“切り込み隊長”のようにいければと思っていたのですが、どんどん(チームが)崩れていってしまい、経験のなさを実感しました」

「自分たちの弱さが出たと思う。前半0-3という展開で、今大会の今までの自分たちならば、まず1点を返して延長戦でもPKでも……というサッカーをしてきていたんですけど、それがこういう大舞台でどんどん弱気になって、筑波大は逆に勢いに乗って(点を)あげてしまった感じです」

 4年間の大学サッカー、最後の舞台は悔しい結末を迎えた。とはいえ、まだまだサッカー選手としての日々は続く。プロ入りを控えるSBは「こういう経験はなかなかできない。この先、サッカーで飯を食っていくには、まだまだ力をつけないと生き残っていけない世界なので。ひと段落つきましたが、すぐに切り替えて怪我を治してスタートのキャンプや練習から全力でやっていくのみ」と自らに言い聞かせるように話した。

(取材・文 片岡涼)
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